接着剤の種類 |
前回「接着って?」というトピックスで接着の歴史や、接着の原理ついて話した。今回は具体的な接着剤についてどのようなものがあるか、どのようなものと接合するか、どのような場所でつかわれているかを2,3話してみよう。
▼ 瞬間接着剤
瞬間館接着剤といえば何を思い出すだろうか?有名なものは皆さん良く知っている「アロンアルファ」である。これは1963年に東亜化成工業が工業用としてアロンアルファ♯201,♯202を発売したのが始まりで、現在でも改良され使われている。 瞬間接着剤の誕生は1955年に、EastMan Kodak社で新製品をテスト中のある技術者がシアノアクリレート(図1)という物質の屈折率測定を行うために屈折計にかけたら、屈折計のプリズムがくっついて取れなくなってしまったということからこの物質には強い接着力があることを発見し、それを1958年に製品化して「Eastman910」として発売したことから始まった。 しかし、始めはこのすばらしい接着剤も用途が見つからず、指輪に宝石をつけることぐらいにしか役に立たなかったが、東大医学部の木本教授が盲腸の切り口の縫合に瞬間接着剤を使ったことで話題になり、医療用接着剤としても1965年に国産化され発売された(アロンアルファA「三共」、三共(株))
図2 2−シアノアクリレート(モノマー)
シアノアクリルレートというのは総称で市販品ではエチルシアノアクリルレートという物質である。原理としては空気中にある水分により硬化し、金属板においては金属板上の微量の水分により硬化するものとされている。しかし木材や多項制材料などはシアノアクリルレートは粘性が小さいため接着剤を吸い込んでしまい接着できない。
▼ 耐熱性接着剤
エレクトロニクス、航空宇宙関連産業などの発展に伴い、高温場で使用される接着剤では耐熱性の要求がなされている。例えば、マッハ2.5〜3.0ぐらいの超音速航空機となると、機体の表面温度が約300℃に達する。 このような場では芳香族複素環ポリマーであるポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリイミド(PI)など(図3)が用いられる。 図2 ポリベンズイミダゾールとポリイミド
PBIは芳香族テトラミンと芳香族ジカルボン酸のジフェニルエステルとの溶融重合によって合成される。接着剤として用いられるのはn=2〜3の低分子のポリマーで、約760℃付近まで温度が上昇しても数分は耐えることができる。最も耐熱性のある代表的な接着剤である。
▼ シール材
物をくっつけるというもの以外の用途にも接着剤は使われている。それがシール材(シーリング材)としての接着剤の利用である。もちろん接着としての意味もあるのだが、それ以上に気密性を上げるという効果がある。例えば、時速100km以上の速度で走行している車で対向車が通ったり、新幹線の走行中トンネルを抜けたりするときに耳がキーンとなる思いはしたことがないだろうか?これは、車両の気密が不十分であると起こり、それを防ぐのがシール材である。 シール材の種類としてはポリサルファイド系、シリコーン系、アクリルゴム系、ポリウレタン系などが使用されているが、ポリサルファイド(図2)が主流となっている。
図3ポリサルファイド
ポリサルファイド系シーリング材とは取材にポリサルファイドと硬化剤に二酸化鉛、二酸化マンガンなどの無機酸化物や重クロム塩、さらにカーボンブラックなどの重点材や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの接着付与剤などの配合剤により構成されている。 ちなみに、全く関係ないが、新幹線のグリーン車と普通車ではシーリング剤の材料が違うらしい。
このように、私たちが使っているもの以外にもたくさん接着剤はある。しかしどれも身近な製品の中で接合という不可欠な部分でこれらは大いに役に立っている。現在、ある接着剤に対しての研究者というのはかなり少なくなったと聞いているが、工業的には重要なものであることにかわりはない。 また、機会があれば接着剤について取り上げてみたいと思う。今度はもっと化学的にね・・・。 有機って面白いよね!! (by ブレビコミン2000/10/7 )
▼参考、関連文献
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