不斉合成 |
▼ 不斉合成とは?
不斉合成とは、光学異性体の一方を化学合成することである。光学活性な化合物を合成するには2つの方法があり、1つ目は
また、別の方法として
有機化学の花形でもある全合成において、その標的分子である天然物のほとんどは不斉点を持っており(図1)、これを作り分けることは必要不可欠である。
図1テトロドトキシンとカリオフィレン
図1の二つの天然物は、筆者が前に「河豚」「パックマン」で紹介したであるがこれらの分子にも不斉点は存在しており、これらを 不斉合成するためには前述の方法を利用して作り分けなければならない。
▼ エナンチオ選択的合成
代表的な数例を示す。
OsO4酸化では、共酸化剤としてアミンオキシドやフェリシアン化物などを併用し、OsO4を触媒として使用している。近年、この反応に、触媒量の不斉アミンを共存させることにより、不斉ヒドロキシル化が可能になり、多くの天然物合成に利用されている。
用いる光学活性酒石酸ジエチルの立体配置で生成するエポキシドの立体配置は決まる。Ti(O-i-Pr)4と酒石酸ジエチルを触媒量用いる反応では、MS3Åまたは4Åを存在させることが重要である。
シリルエノールエーテルをTiCl4存在下、カルボニル化合物と反応させ、対応したアルドールを立体特異的に合成することができる。
○光延反応
光学活性第二級アルコールにアゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)とトリフェニルホスフィン(PhP3)を反応させた後に安息香酸を反応させると、立体反転を伴って、対応するベンゾイルオキシ誘導体が生成する。続くアルカリ加水分解により、対応するアルコールに変換できる。
▼ ジアステレオ選択的合成
反応によって新しく不斉炭素ができる場合に基質中の不斉炭素を足がかりとして新しくできる不斉炭素の立体を制御し合成することをジアステレオ選択的合成という。
最も基本的な考え方としてCram則が知られている。
▼ 実際の合成例
35個の不斉点を持つEverninomicin13384-1(図2)の赤で囲った部分の合成例を簡単に紹介する(図3)。
図2 Everninomicin13384-1
(1)FragmentA
(2)FragmentB
(3)FragmentC
(4)FragmentA1
(5)Fragment Coupling
有機って面白いよね!! (2000 by ボンビコール) ▼参考、関連文献
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【用語ミニ解説】
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