[スポンサーリンク]

ケムステまとめ

研究費・奨学金の獲得とプロポーザルについて学ぼう!

[スポンサーリンク]

 

一昔前は、研究費獲得業務といえばラボスタッフ以上のお仕事でした。しかし現在は大学院生でも研究奨励費が貰える国策制度(学振特別研究員、COEプログラム、リーディング大学院など)が充実を見せつつあります。そのため学生にとっても「申請書書き」は重要な研究業務の一環となりつつあり、それに悩む学生の姿を見るのも毎年の風物詩ともなっています。

化学系プロ研究者(の卵)であるケムステスタッフが過去に執筆した、「研究費・奨学金」とその仕組み・応募方法に関する記事を、広く研究者の方々の参考資料としてまとめて見ました。

研究テーマの選び方

grant_summary_1

「科学者として取り組むべき研究テーマは、どういう指針で選ぶべきなのか?」―これは研究者なら誰しも頭を悩ませる問題でしょう。もちろん夢のあるテーマを追い求め続けたいですが、プロとして継続的な研究を続けて行くには、現実的目線も持っておく必要があります。また当然ながら魅力的なテーマが立てられないと、研究費を獲得することは出来ません。優れた「ノウハウ文」はいくつか公開されていますので、まとめてみました。

 

申請書書きあれこれ

grant_summary_3

研究費の応募には「申請書書き」が避けては通れません。しかしラボによっては指導体系やノウハウ蓄積が充実しておらず、運営スタッフ側ですら精緻に理解していないポイントがあるかもしれません。申請書もプレゼンテーションの一環なので、少しの訓練と書き方のコツを学ぶことで見違えるほどに良くなることがあります。

 

予算制度について考える

grant_summary_4

大学院生向けの奨励費の充実に加えて、ACCELImPACTといったかつてない巨額グラントや、医療研究開発機構AMEDが最近続々と立ち上がりました。その一方、大学運営費は歯止め無く減少を続けています。研究費によらず、運営予算は自力獲得していくものという考え方が今後の普通になるでしょう。しかし我が国にそもそもお金はありませんので、競争激化は避けられないと思われます。グラント獲得戦略も複雑多様化の傾向がいよいよ強まるのではないでしょうか。研究者側も一通りの理解をしておかねばならないと思いますが、今後は研究費獲得をサポートする業務・リサーチアドミニストレータ(URA)の重要性がいよいよ増してくると思われます。

 

自分に適した研究費を探す

grant_summary_5

細々したものを含めると、世の中には本当に沢山の助成元があります。有難いことなのですが、全部を調べるのは大変です。果たして周りの人たちがよく応募するような研究費、ボスから紹介して貰った財団などを継続的に応募してしまう、という人が割と多いのではないでしょうか。しかし先に述べた事情からも、研究費獲得先が幅広くあるに越したことはありません。

研究助成情報サイト:コラボリー/Grantsは研究費検索に大変便利に使えるサイトです。現在募集中の研究費と過去の取得者一覧を簡単に調べることができるので、採択率なども自分なりに見積もることができます。科研費も引っかかるので、科研費データベースを使うより効率が良く、筆者も頻繁に活用させて貰っています。

ついでに言うと本サービスが運営するコラボリー/Beats!は、研究者にとって興味深い情報満載サイトですので、フォローしておくと良いと思います。展開サービスのコラボリー/Groupもあります。今後どう発展していくサービスなのか、注目しておきたいですね。

また大学院生向けの奨学金については、以下の記事も参考になると思います。

 

ネット時代の自己アピール法

grant_summary_6

時はネット時代、Webを通じたアピールはいまやどの分野にもおなじみとなっています。「研究者の顔が見える」よう、必要最低限の情報はデジタルスペースに置いておく必要があります。審査員が「申請者の名前でGoogle検索する」ことも、今は普通に行われています。ウェブに情報がないということは、それだけで損している可能性大なのです。どんなツールを使って、どこに力点を置いて情報発信していけば良いのでしょうか?以下の記事は一つの参考になるかもしれません。

 

研究テーマ・申請書執筆を考えるための参考書籍

grant_summary_7

論文書きに関する参考書のほうが数としては多いのですが、基本的な考え方(序論・本論・結論といった科学文章特有の構成、パラグラフライティングなど)は申請書書きにもそのまま応用できます。

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 「文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり」シリーズ
  2. スポットライトリサーチ まとめ【初回〜第200回まで】
  3. ケムステ海外研究記 まとめ【地域別/目的別】
  4. コロナウイルス関連記事 まとめ
  5. ノーベル化学賞まとめ
  6. 有機反応を俯瞰するシリーズーまとめ
  7. ケムステしごと企業まとめ
  8. 有機合成テクニック集[ケムステ版]

注目情報

ピックアップ記事

  1. 世界最高の耐久性を示すプロパン脱水素触媒
  2. 光化学スモッグ注意報が発令されました
  3. 日本国際賞―受賞化学者一覧
  4. 「海外PIとして引率する大気化学研究室」ーカリフォルニア大学アーバイン校より
  5. 複雑なモノマー配列を持ったポリエステル系ブロックポリマーをワンステップで合成
  6. 第3のフラッシュ自動精製装置がアップグレード:分取クロマトグラフィーシステムPure
  7. タキサン類の全合成
  8. 多孔性材料の動的核偏極化【生体分子の高感度MRI観測への一歩】
  9. 実験手袋をいろいろ試してみたーつかいすてから高級手袋までー
  10. シランカップリング剤入門【終了】

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2015年12月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2024年12月号:パラジウム-ヒドロキシ基含有ホスフィン触媒・元素多様化・縮環型天然物・求電子的シアノ化・オリゴペプチド合成

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年12月号がオンライン公開されています。…

「MI×データ科学」コース ~データ科学・AI・量子技術を利用した材料研究の新潮流~

 開講期間 2025年1月8日(水)、9日(木)、15日(水)、16日(木) 計4日間申込みはこ…

余裕でドラフトに収まるビュッヒ史上最小 ロータリーエバポレーターR-80シリーズ

高性能のロータリーエバポレーターで、効率良く研究を進めたい。けれど設置スペースに限りがあり購入を諦め…

有機ホウ素化合物の「安定性」と「反応性」を両立した新しい鈴木–宮浦クロスカップリング反応の開発

第 635 回のスポットライトリサーチは、広島大学大学院・先進理工系科学研究科 博士…

植物繊維を叩いてアンモニアをつくろう ~メカノケミカル窒素固定新合成法~

Tshozoです。今回また興味深い、農業や資源問題の解決の突破口になり得る窒素固定方法がNatu…

自己実現を模索した50代のキャリア選択。「やりたいこと」が年収を上回った瞬間

50歳前後は、会社員にとってキャリアの大きな節目となります。定年までの道筋を見据えて、現職に留まるべ…

イグノーベル賞2024振り返り

ノーベル賞も発表されており、イグノーベル賞の紹介は今更かもしれませんが紹介記事を作成しました。 …

亜鉛–ヒドリド種を持つ金属–有機構造体による高温での二酸化炭素回収

亜鉛–ヒドリド部位を持つ金属–有機構造体 (metal–organic frameworks; MO…

求人は増えているのになぜ?「転職先が決まらない人」に共通する行動パターンとは?

転職市場が活発に動いている中でも、なかなか転職先が決まらない人がいるのはなぜでしょう…

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP