[スポンサーリンク]

危険物取扱者

甲種危険物取扱者・合格体験記~カルダモン編

[スポンサーリンク]

ケムステスタッフのカルダモンさんの甲種危険物取扱者体験記(平成17年公開)です。

「今度の危険物取扱者試験受けます」

上司との面談で自分から言い出したもんだからしょうがない。いつかは取らなければならないものだから、早いうちにやっとこう。合格すれば、受験料は会社が払ってくれることになるので、なんとしてでも一発で受からんことには。5000円だって安くないし。

「合格率は高くはない」とはいうものの、難しくはないでしょ。

ーーー試験まであと二ヶ月。

申し込み

写真か…前に撮ったのが残ってたっけ。受験資格?卒業証書のコピーがいるのか。家にメールして聞いてみる。写真はあったが、卒業証書が博士のものしかないとのこと。

これじゃダメなので、実家から学士の卒業証書をわざわざ取り寄せる。縮小コピーして、人事に提出。

のちに博士の証書でも良いことがわかる。無駄手間だった。

参考書

すでに合格した同僚に尋ねる。

「ちょっと古いけど」と、ぶ厚めのを貸してくれた。いつものカバンに入るかな。

これだけ!甲種危険物試験合格大作戦!!―完全合格対策』(弘文社)。平成10年発行。今は平成17年。大丈夫か?ちょっと不安。本屋で最新版を立ち読みして比較したけど、ほとんど違いはなさそう。ただ、少しだけど、出題傾向が変わってきているようだ。

ーーー試験まで一ヶ月半。

[amazonjs asin=”4770325835″ locale=”JP” title=”これだけ! 甲種危険物試験 合格大作戦!! (国家・資格シリーズ 42)”]

勉強

家では、子供の「絵本、ダッコ、ひこうき」攻撃にあうため勉強できないので、通勤中に勉強することに。電車に乗っている時間は、往復で40分くらいになる。通勤電車では、いつもは図書館から借りた文庫本を読んでいる。そこで、朝は文庫本、帰りは試験勉強することにしよう。1日20分、1週間で約1時間半にはなる。

ぶ厚い参考書を開いたとたん、挫折。水は低きに流れる。中ほどの物理・化学からはじめる。簡単楽チン。これならばっちり余裕で合格だな。危険物の性質も、何とかなりそうだ。と、参考書の最後のページから、法令に戻る。読んですぐの練習問題には対応できるが、3ページ進めばもう忘れている。屋内貯蔵所とか屋内タンク貯蔵所とか屋外タンク貯蔵所とか、ごっちゃになって混乱気味。それでもなんとか読み終える。

1週目終了。

ーーー試験まであと2週間

図書館から本を借りるの中断して、朝も勉強することに。2周目も物理化学から開始。危険物の性質まで終了。

ーーーあと1週間

通勤時の参考書と並行して、昼休みに法令の細かな点をWordでまとめ、マイプリントつくりに入る。表をつくって、相違点を一覧して比較できるようにまとめる。

分類、指定数量、引火点、保安距離、定期点検、予防規定等々・・・金曜日、2周目終了。

マイプリント(A4で3枚)を会社で印刷して、自宅に持って帰る。

ーーー試験前日

子供が寝ている間に、法令の細かな点を補足書き込み+法令だけ3周目。

試験当日

子供と一緒に夜10時に寝ることにしているため、最近は朝5時ころには目が覚める。

いつもならここで2度寝にはいるのだが、今日はがんばって起きる。そしてネットに耽る。気がつくと6時。プリントに補足書き込み+参考書巻末の模試に挑戦。

法令で8割、物理化学で9割、性質で8割程度。これで大丈夫だろう。

 

試験は午後1時半からだが、10時頃に家をでる。

暑い中、試験会場付近をうろうろして、公民館らしきものを見つける。

 

11時半。

その公民館で軽い昼食後、マイプリント復習・・・しかし、公民館にいた子供たちが、貸し出しビデオで、「アトランタ五輪サッカー日本代表のナントカ」というのを見だし、そっちに気をとられてしまう。

 

気がつくと12時50分。

試験会場の大学へ向かう。結構混雑してて、エレベーター待ちとかもあり、思ってたより時間がかかった。

 

1時15分。

後ろから2番目の席。前の席は、会社の同僚だった。

同僚は「6割でいいんだよね」なんて言っている。そんな心構えじゃ6割も取れないよ、と思いながら「まあね」と返事しておく。周りの人たちが読んでいる参考書を覗き見る(見えないけど)。 結構女の子がいるんだな(2割くらい)。結構暑い日だったので、遠くには結構薄着の子も・・・すぐ近くにいたら試験どころじゃなくなるよな・・・

 

そんなこと考えてたら、学生アルバイトらしき試験監督が説明を始める。

受験票の写真と本人を確認したりしてる。個人情報とか、ちゃんと保護されるのかね。学生アルバイトに不信感つのる。

 

1時30分、試験開始

 

法令から順に、のんびり始める。楽に解った問題はあまり覚えていない。

 

○法令

・禁水性第三種の指定数量(ここまで出すか?!と思った)

・消火器を設置する間隔(歩いて何mとか。出題されるとは全く予想してなかった)

・配管(検査の基準(圧力)とか。予想してなかった)

・保安講習の義務(決まりごとを覚えていれば、考えればわかる)

・定期検査

・予防規定

・警報設備

など

 

○物理・化学

硫酸銅の析出の問題。与えられた溶解度から、どれだけの硫酸銅水和物が析出するか?(水和物として析出するので、その分の水の減少量を考慮する。)計算が面倒だった。

この問題が正解でなくても6割の基準は満たされる見通しだったので、長時間掛けて解く必要はなかったが、意地になってやってしまった。検算2回含めて10分くらいかかった。

 

○性質・消火

・リチウムの比重(一番軽い←振り返れば常識的問題だが、なぜか間違えてしまった)

・メチルエチルケトンパーオキシド(フタル酸ブチル溶液、予想してなかった)

・ニトロ化合物

など。

結構細かい問題もでた。

 

確信のある分だけで、法令8/15(あと一問)、物理・化学8/10(8割)、性質12/20(6割)。

確信のない分も、2択までは絞れていたので、仮に3分の1で正解としても余裕で合格だろう。そう思いつつ、見直しをしていたら、ニトロ化合物の問題でうっかりミス判明。ニトログリセリン、ニトロセルロースはニトロでなく硝酸エステル、というのは解っていたが、ニトロベンゼンが4種第3石油類というのをうっかり忘れていた!

「3分の1で正解としても余裕で合格だろう」から「半分正解としてもまぁ合格だろう」に下方修正。

 

時間を1時間ほどのこして、退出。机に貼ってあった受験票のシールをはがして問題用紙にはり、マークシートと一緒に提出。

 

帰りの電車で、確信の無い問題について確認。参考書に載ってない問題も2,3問あったが、確認できた分だけでも半分は正解の見通し。

まぁ合格だな。

3週間後、合格発表。

試験研究センターのHPで確認。あった、合格だ(やっぱりね)。

ちなみに同僚は、不合格(やっぱりね)。試験の翌日、まったく試験のことについて触れようとしなかったし、ちょっと様子がおかしかったもんな。

翌日、合格通知が送られてくる。免状申請書も一緒になっていた。

合格に向けて

『「6割でいいんだよね」なんて心構えじゃ6割も取れないよ』

試験には、8割目指して挑みましょう。そうすれば6割は取れます。

「6割でいいんだよね」というのは試験(回答)が終わってからの言葉です。

物理・化学と危険物の性質は、参考書1周程度で6割は固いはず。

法令に時間を割くべし。法令:物化:性質=4:1:2程度?

一覧表を作る

指定数量、「屋内貯蔵所は○○、屋外タンク貯蔵所は△△」とか第四類の引火点などの暗記ものは、一覧表をつくるとパッと見てわかりやすいし、1マス1マスについて覚えていなくても、表全体でなんとなく覚えている、みたいになんとかなるかも。

実際「あの表の右から2番目、上から4,5番目あたりは何だっけ・・・」とぼんやり思い出すパターンで、確信の無い問題のうち2問が正解だった。

保安講習の義務については、きっと毎回出題されていると思います。受講しない人が多いんでしょうね、きっと。あくまで予想ですが。

一夜漬けは勧めません

もう若くないので、一夜漬けはきついです。ていうか、学生のときも一夜漬けしてなかったかも。1週間前からあわてて勉強はじめるよりは1ヶ月前からのんびり始める。そういう性格なんでしょうね、きっと。

今回の総勉強時間は20時間程度になるかと思います。

参考書は、ぶ厚いほうが良いと思います。今回使用した『これだけ!甲種危険物試験合格大作戦!!―完全合格対策』(弘文社)は、ぶ厚い。それでも、試験に出題された問題をすべてカバーしていたわけではありません。薄い参考書は、勉強する前から大幅に減点されているようなものです。

※以前HTML版で公開していたものを移行したものです。

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 甲種危険物取扱者・合格体験記~cosine編
  2. 危険物データベース:危険物に関する基礎知識
  3. 甲種危険物取扱者・合格体験記~読者の皆さん編
  4. 危険物に関する法令:危険物の標識・掲示板
  5. 試験概要:知的財産管理技能検定
  6. 危険物データベース:第6類(酸化性液体)
  7. 危険物データベース:第5類(自己反応性物質)
  8. 乙種危険物取扱者・合格体験記~Webmaster編

注目情報

ピックアップ記事

  1. ウォルフガング-クローティル Wolfgang Kroutil
  2. CO2が原料!?不活性アルケンのアリールカルボキシ化反応の開発
  3. 可視光応答性光触媒を用いる高反応性アルキンの生成
  4. 世界が終わる日までビスマス
  5. 免疫/アレルギーーChemical Times特集より
  6. アメリカで Ph.D. を取る –エッセイを書くの巻– (後編)
  7. プラテンシマイシン /platensimycin
  8. 塩素 Chlorine 漂白・殺菌剤や塩ビの成分
  9. Nsアミン誘導体
  10. 海洋天然物パラウアミンの全合成

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2005年6月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

注目情報

最新記事

PythonとChatGPTを活用するスペクトル解析実践ガイド

概要ケモメトリクスと機械学習によるスペクトル解析を、Pythonの使い方と数学の基礎から実践…

一塩基違いの DNA の迅速な単離: 対照実験がどのように Nature への出版につながったか

第645回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院工学系研究科相田研究室の龚浩 (Gong Hao…

アキラル色素分子にキラル光学特性を付与するミセルを開発

第644回のスポットライトリサーチは、東京科学大学 総合研究院 応用化学系 化学生命科学研究所 吉沢…

有機合成化学協会誌2025年2月号:C–H結合変換反応・脱炭酸・ベンゾジアゼピン系医薬品・ベンザイン・超分子ポリマー

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年2月号がオンライン公開されています。…

草津温泉の強酸性硫黄泉で痺れてきました【化学者が行く温泉巡りの旅】

臭い温泉に入りたい!  というわけで、硫黄系の温泉であり、日本でも最大の自然温泉湧出量を誇る草津温泉…

ディストニックラジカルによる多様なアンモニウム塩の合成法

第643回のスポットライトリサーチは、関西学院大学理工学研究科 村上研究室の木之下 拓海(きのした …

MEDCHEM NEWS 34-1 号「創薬を支える計測・検出技術の最前線」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

医薬品設計における三次元性指標(Fsp³)の再評価

近年、医薬品開発において候補分子の三次元構造が注目されてきました。特に、2009年に発表された論文「…

AI分子生成の導入と基本手法の紹介

本記事では、AIや情報技術を用いた分子生成技術の有機分子設計における有用性や代表的手法について解説し…

第53回ケムステVシンポ「化学×イノベーション -女性研究者が拓く未来-」を開催します!

第53回ケムステVシンポの会告です!今回のVシンポは、若手女性研究者のコミュニティと起業支援…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー