[スポンサーリンク]

危険物取扱者

危険物に関する法令:点検・設備・保安距離

[スポンサーリンク]

これらの点検・設備の対象条件の内容はかなり複雑なので、しっかり覚える。

定期点検

下記の製造所等の施設では定期点検を実施しなければならない。期間は1年に1回以上、またこの記録は3年以上保存しなければならない。またタンクを有する施設はタンク内部の点検もあり、期間は10000kL未満のものは10年、それ以上のものは5年で、その記録もそれぞれ、20年、10年保存しなければならない。

製造所等の区分 対象条件
製造所 指定数量の倍数が10以上
地下タンクを有する施設
屋内貯蔵所 指定数量の倍数が150以上
屋外タンク貯蔵所 指定数量の倍数が200以上
地下タンク貯蔵所 全部
移動タンク貯蔵所
屋外貯蔵所 指定数量の倍数が100以上
給油取扱書 地下タンクを有する施設
移送取扱所 特定移送取扱書以外の施設
一般取扱所 地下タンクを有するもの
指定数量の倍数が10以上

予防規程

下記の製造所等の所有者、管理者、又は占有者は、製造所等の火災を予防するための予防規程を制定し、又は変更した場合は、市町村等の認可を受けることが義務づけられている。

製造所などの区分 対象条件
製造所 指定数量の倍数が10以上
屋内貯蔵所 指定数量の倍数が150以上
屋外タンク貯蔵所 指定数量の倍数が200以上
屋外貯蔵所 指定数量の倍数が100以上
給油取扱所 全部
移送取扱所
一般取扱所 指定数量の倍数が10以上

自衛消防組織

下記の条件に当てはまる第4類の危険物を扱う指定施設(移送取扱所を除く)の事業所は自衛消防組織の編成が義務付けられている。

事業所 人員数 化学消防車の台数
最大数量が12万倍未満の事業所 5人 1台
最大数量が12万倍以上24万倍未満である事業所 10人 2台
最大数量が24万倍以上48万倍未満である事業所 15人 3台
最大数量が48万倍以上である事業所 20人 4台

警報設備

指定数量が10以下の製造所等は、警報設備を設ける義務はない。

警報設備にはつぎのようなものがある。

避難設備

製造所等のうち、その規模、貯蔵し又は取り扱う危険物の品名及び最大数量より、火災が発生したとき避難が容易でないと認められるもので自治条例で定めるものは、自治条例で定めるところより、避難設備を設置しなければならない。

基準
  1. 給油取扱所のうち建築物の2階の部分を給油、灯油の詰め替え又は自動車等の点検、整備もしくは洗浄のために、給油所に出入りするものを対象とした店舗、飲食店または展示場に供するものにあっては当該建築物の2階から直接給油取扱所の敷地外へ通ずる出入り口並びにこれに通ずる道路、階段及び出入り口に誘導灯を設けること。
  2. 屋内給油取扱所のうち、給油取扱所の敷地外に直接通ずる避難口(随時あけることの出来る自動閉鎖の甲種防火戸が設けられているものに限る)が設けられ、かつ、壁等により区画された事務所等(当該事務所の出入り口には、随時あけることのできる自動閉鎖の甲種防火戸または乙種防火戸が設けられ、かつ、窓には、はめごろし戸である乙種防火戸が設けられているものに限る)の出入り口、避難口並びに当該避難口に通ずる通路、階段及び出入り口に誘導等を設けること。
  3. 誘導等には非常電源を設けること

消火設備

消火の困難性(政令第20条第1項)

製造所に対して、その施設の規模、危険物の品名及び最大数量等から、その施設の消火困難性に対して3区分し、それぞれの区分に応じて次のような消火設備を設けることとされている。

  1. 消火が著しく困難と認められるもの :第1種、第2種又は第三種のいずれか一つ+第4種+第5種
  2. 消火が困難と認められるもの :第4種、第5種
  3. 1・2以外のもの :第5種
消火設備

消火設備は第1~5種まであり、下記の様に分類される。

消火設備の区分 消火設備の種類
第1種 屋内消火栓設備または屋外消火設備など
第2種 スプリンクラー設備など
第3種 泡消火設備、粉末消火栓設備、二酸化炭素消火設備など
第4種 ハロゲン化物を消火する大型消火器、棒状の水を放射する大型消火器など
第5種 小型消火器、乾燥砂、水バケツまたは水槽、膨張ひる石または膨張真珠岩など

保安対象施設と保安距離

危険物を保管する施設の中には、施設に対して距離を置かなければならないものがあります。その距離を保安距離といい、保安距離を取らなければならない施設は以下のとおりです。

保安距離を必要とする危険物施設

製造所、屋内貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、屋外貯蔵所、一般取扱所、

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 甲種危険物取扱者・合格体験記~読者の皆さん編
  2. 甲種危険物取扱者・合格体験記~cosine編
  3. 危険物データベース:第4類(引火性液体)
  4. 甲種危険物取扱者・合格体験記~カルダモン編
  5. 合格体験記:知的財産管理技能検定~berg編~
  6. 乙種危険物取扱者・合格体験記~読者の皆さん編
  7. 危険物データベース:第2類(可燃性固体)
  8. 危険物データベース:第1類(酸化性固体)

注目情報

ピックアップ記事

  1. オンライン講演会に参加してみた~学部生の挑戦記録~
  2. JACSベータ
  3. アルミニウム Aluminium 最も多い金属元素であり、一円玉やアルミホイルの原料
  4. NMRデータ処理にもサブスクの波? 新たなNMRデータ処理ソフトウェアが登場
  5. 病理学的知見にもとづく化学物質の有害性評価
  6. 【Q&Aシリーズ❸ 技術者・事業担当者向け】 マイクロ波プロセスのスケールアップについて
  7. 光電変換機能を有するナノシートの合成
  8. 新型コロナウイルスをブロックする「N95マスクの95って一体何?」などN95マスクの秘密が一発で分かるムービーが登場
  9. ぱたぱた組み替わるブルバレン誘導体を高度に置換する
  10. 誰でも参加OK!計算化学研究を手伝おう!

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2005年6月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

注目情報

最新記事

ディストニックラジカルによる多様なアンモニウム塩の合成法

第643回のスポットライトリサーチは、関西学院大学理工学研究科 村上研究室の木之下 拓海(きのした …

MEDCHEM NEWS 34-1 号「創薬を支える計測・検出技術の最前線」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

医薬品設計における三次元性指標(Fsp³)の再評価

近年、医薬品開発において候補分子の三次元構造が注目されてきました。特に、2009年に発表された論文「…

AI分子生成の導入と基本手法の紹介

本記事では、AIや情報技術を用いた分子生成技術の有機分子設計における有用性や代表的手法について解説し…

第53回ケムステVシンポ「化学×イノベーション -女性研究者が拓く未来-」を開催します!

第53回ケムステVシンポの会告です!今回のVシンポは、若手女性研究者のコミュニティと起業支援…

Nature誌が発表!!2025年注目の7つの技術!!

こんにちは,熊葛です.毎年この時期にはNature誌で,その年注目の7つの技術について取り上げられま…

塩野義製薬:COVID-19治療薬”Ensitrelvir”の超特急製造開発秘話

新型コロナウイルス感染症は2023年5月に5類移行となり、昨年はこれまでの生活が…

コバルト触媒による多様な低分子骨格の構築を実現 –医薬品合成などへの応用に期待–

第 642回のスポットライトリサーチは、武蔵野大学薬学部薬化学研究室・講師の 重…

ヘム鉄を配位するシステイン残基を持たないシトクロムP450!?中には21番目のアミノ酸として知られるセレノシステインへと変異されているP450も発見!

こんにちは,熊葛です.今回は,一般的なP450で保存されているヘム鉄を配位するシステイン残基に,異な…

有機化学とタンパク質工学の知恵を駆使して、カリウムイオンが細胞内で赤く煌めくようにする

第 641 回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院理学系研究科化学専攻 生…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー