[スポンサーリンク]

M

ムレキシド反応 Murexide reaction

[スポンサーリンク]

 

ムレキシド反応 (Murexide reaction) は、カフェイン・テオフィリンなどのキサンチンアルカロイドを検出する呈色反応。これらのアルカロイドはドラーゲンドルフ試薬とは反応しないため、本法が用いられる。日本薬局方におけるカフェイン (無水カフェイン・カフェイン水和物・安息香酸ナトリウムカフェイン) の確認試験としても収載されている。操作が簡便であることから、化学実験でカフェインの抽出を行なった際の確認試験としても汎用されている。

日本薬局方におけるカフェインの確認試験

無水カフェインの場合: 本品 0.01 g に過酸化水素試液 10 滴及び塩酸 1 滴を加えて水浴上で蒸発乾固するとき,残留物は黄赤色を呈する。また、これをアンモニア試液 2~3 滴を入れた容器の上にかざすとき,赤紫色に変わり、その色は水酸化ナトリウム試液 2~3滴を加えるとき、消える。(第十八改正日本薬局方)

反応機構

過酸化水素/塩酸条件または硝酸条件の2法があり、それぞれ異なる呈色中間体が得られる。いずれの中間体も、アンモニアとの反応によりムレキソイン (プルプル酸アンモニウム塩) が生成し、赤紫色を呈する。これに水酸化ナトリウムを加えるとカチオンの交換が起こり、色は消失する。

古くは過酸化水素/塩酸条件での加熱によりテトラメチルアロキサンチン (アマリン酸) と呼ばれる呈色前駆体が生成すると記載されていたが、小山・狐塚の詳細な実験により、アマリン酸の生成は否定されている[1]

尿酸の検出

反応名でもあるムレキシドは尿酸から生じる呈色物質である。尿酸に硝酸を加えて蒸発乾固させるとアロキサンが生じ、これをアンモニアと加熱すると紫色に呈色するムレキシドを生じる{1}

その他

キサンチン、テオフィリン、テオブロミンに関しても同様の呈色物質が得られることが知られている[1]

参考文献

[1] 小山 又次郎、狐塚 寛、尿酸及び Xanthine 誘導体の Murexide 反応、YAKUGAKU ZASSHI1988108(9)、916-920. DOI: https://doi.org/10.1248/yakushi1947.108.9_916

関連書籍

[amazonjs asin=”4759814183″ locale=”JP” title=”アルカロイドの科学 生物活性を生みだす物質の探索から創薬の実際まで (DOJIN ACADEMIC SERIES)”][amazonjs asin=”4065020166″ locale=”JP” title=”お茶の科学 「色・香り・味」を生み出す茶葉のひみつ (ブルーバックス)”]
Avatar photo

DAICHAN

投稿者の記事一覧

創薬化学者と薬局薬剤師の二足の草鞋を履きこなす、四年制薬学科の生き残り。
薬を「創る」と「使う」の双方からサイエンスに向き合っています。
しかし趣味は魏志倭人伝の解釈と北方民族の古代史という、あからさまな文系人間。
どこへ向かうかはfurther research is needed.

関連記事

  1. 水素化リチウムアルミニウム Lithium Alminum Hy…
  2. ジョーンズ酸化 Jones Oxidation
  3. 植村酸化 Uemura Oxidation
  4. ターボグリニャール試薬 Turbo Grignard Reage…
  5. ブーボー/ボドロー・チチバビン アルデヒド合成 Bouveaul…
  6. ニーメントウスキー キノリン/キナゾリン合成 Niementow…
  7. ヨウ化サマリウム(II) Samarium(II) Iodide…
  8. 隣接基関与 Neighboring Group Particip…

注目情報

ピックアップ記事

  1. アルケンとCOとジボロンからジボリルシクロプロパンを作る
  2. 【10月開催】マイクロ波化学ウェブセミナー
  3. 2009年9月人気化学書籍ランキング
  4. 第6回慶應有機化学若手シンポジウム
  5. レイモンド・ドウェク Raymond A. Dwek
  6. 化学反応を“プローブ”として用いて分子内電子移動プロセスを検出
  7. 【マイクロ波化学(株)環境/化学分野向けウェビナー】 #CO2削減 #リサイクル #液体 #固体 #薄膜 #乾燥 第3のエネルギーがプロセスと製品を変える  マイクロ波適用例とスケールアップ
  8. アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―
  9. インターネットを活用した英語の勉強法
  10. フィッシャー インドール合成 Fischer Indole Synthesis

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2022年8月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

注目情報

最新記事

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP