概要
2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル(2,2,2-trichloroethoxycarbonyl, Troc)基は、カルバメート形成によってアミンの保護目的に多用される。場合によってはアルコールやフェノールの保護目的にも使われる。
強塩基によるエステル加水分解条件・強酸性条件・求核条件・弱めのヒドリド還元条件に強く、亜鉛-酢酸の1電子還元条件で除去可能。
基本文献
- Windholz, T. B.; Johnston, D. B. R. Tetrahedron Lett. 1967, 8, 2555. doi:10.1016/S0040-4039(00)70346-7
- Carson, J. F. Synthesis 1981, 268. doi:10.1055/s-1981-29408
- Just, G.; Grozinger, K. Synthesis 1976, 457. DOI: 10.1055/s-1976-24080
反応機構
保護
クロロギ酸2,2,2-トリクロロエチル(Troc-Cl)が最も多用される。ピリジンやトリエチルアミンを塩基として添加し、アミンと反応させる。アミノ酸などに対しては、無機塩基をもちいるショッテン・バウマン条件なども簡便である。
脱保護
亜鉛粉末-酢酸を用いる還元条件で脱保護するのが一般的。揮発性の1,1-ジクロロエチレンとCO2が副生する。
反応例
多くの保護基が存在する中でTrocのみを選択的に除去できる[1]。
参考文献
- Bergeron, R. J.; McManis, J. S. J. Org. Chem. 1988, 53, 3108–3111. DOI: 10.1021/jo00248a037
関連反応
- カルバメート保護基
- メリフィールド ペプチド固相合成法
- アリルオキシカルボニル保護基(Alloc)
- 2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル保護基(Troc)
- 2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニル保護基(Teoc)
- ベンジルオキシカルボニル保護基(Cbz)
- 9-フルオレニルメチルオキシカルボニル保護基(Fmoc)
- tert-ブトキシカルボニル保護基(Boc)