[スポンサーリンク]

odos 有機反応データベース

2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル保護基 Troc Protecting Group

[スポンサーリンク]

概要

2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル(2,2,2-trichloroethoxycarbonyl, Troc)基は、カルバメート形成によってアミンの保護目的に多用される。場合によってはアルコールやフェノールの保護目的にも使われる。

強塩基によるエステル加水分解条件・強酸性条件・求核条件・弱めのヒドリド還元条件に強く、亜鉛-酢酸の1電子還元条件で除去可能。

基本文献

反応機構

保護

クロロギ酸2,2,2-トリクロロエチル(Troc-Cl)が最も多用される。ピリジンやトリエチルアミンを塩基として添加し、アミンと反応させる。アミノ酸などに対しては、無機塩基をもちいるショッテン・バウマン条件なども簡便である。

脱保護

亜鉛粉末-酢酸を用いる還元条件で脱保護するのが一般的。揮発性の1,1-ジクロロエチレンとCO2が副生する。

反応例

多くの保護基が存在する中でTrocのみを選択的に除去できる[1]。

参考文献

  1. Bergeron, R. J.; McManis, J. S. J. Org. Chem. 1988, 53, 3108–3111. DOI: 10.1021/jo00248a037

関連反応

  • カルバメート保護基
  • メリフィールド ペプチド固相合成法
  • アリルオキシカルボニル保護基(Alloc)
  • 2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル保護基(Troc)
  • 2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニル保護基(Teoc)
  • ベンジルオキシカルボニル保護基(Cbz)
  • 9-フルオレニルメチルオキシカルボニル保護基(Fmoc)
  • tert-ブトキシカルボニル保護基(Boc)

関連書籍

[amazonjs asin=”1118057481″ locale=”JP” title=”Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis”]

外部リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. ビシュラー・メーラウ インドール合成 Bischler-Mohl…
  2. ブレデレック オキサゾール合成 Bredereck Oxazol…
  3. ワインレブケトン合成 Weinreb ketone synthe…
  4. ブラム・イッター アジリジン合成 Blum-Ittah Azir…
  5. 原子移動ラジカル重合 Atom Transfer Radical…
  6. ミカエリス・アルブゾフ反応 Michaelis-Arbuzov …
  7. 環化異性化反応 Cycloisomerization
  8. 福山還元反応 Fukuyama Reduction

注目情報

ピックアップ記事

  1. 私がなぜケムステスタッフになったのか?
  2. アビシェック・チャッタージー Abhishek Chatterjee
  3. 第53回「すべての化学・工学データを知識に変える」金子弘昌准教授
  4. 三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功
  5. ポリマーを進化させる!機能性モノマーの力
  6. 第45回BMSコンファレンス参加者募集
  7. スポットライトリサーチ まとめ【初回〜第200回まで】
  8. 第23回 医療、工業、軍事、広がるスマートマテリアル活躍の場ーPavel Anzenbacher教授
  9. α,β-不飽和イミンのγ-炭素原子の不斉マイケル付加反応
  10. 2005年9-10月分の気になる化学関連ニュース投票結果

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2018年7月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

城﨑 由紀 Yuki SHIROSAKI

城﨑 由紀(Yuki SHIROSAKI)は、生体無機材料を専門とする日本の化学者である。2025年…

中村 真紀 Maki NAKAMURA

中村真紀(Maki NAKAMURA 産業技術総合研究所)は、日本の化学者である。産業技術総合研究所…

フッ素が実現する高効率なレアメタルフリー水電解酸素生成触媒

第638回のスポットライトリサーチは、東京工業大学(現 東京科学大学) 理学院化学系 (前田研究室)…

【四国化成ホールディングス】新卒採用情報(2026卒)

◆求める人財像:『使命感にあふれ、自ら考え挑戦する人財』私たちが社員に求めるのは、「独創力」…

マイクロ波に少しでもご興味のある方へ まるっとマイクロ波セミナー 〜マイクロ波技術の基本からできることまで〜

プロセスの脱炭素化及び効率化のキーテクノロジーとして注目されている、電子レンジでおなじみの”マイクロ…

世界の技術進歩を支える四国化成の「独創力」

「独創力」を体現する四国化成の研究開発四国化成の開発部隊は、長年蓄積してきた有機…

四国化成ってどんな会社?

私たち四国化成ホールディングス株式会社は、企業理念「独創力」を掲げ、「有機合成技術」…

アザボリンはニ度異性化するっ!

1,2-アザボリンの光異性化により、ホウ素・窒素原子を含むベンズバレンの合成が達成された。本異性化は…

マティアス・クリストマン Mathias Christmann

マティアス・クリストマン(Mathias Christmann, 1972年10…

ケムステイブニングミキサー2025に参加しよう!

化学の研究者が1年に一度、一斉に集まる日本化学会春季年会。第105回となる今年は、3月26日(水…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー