概要
アリルオキシカルボニル(allyloxycarbonyl, Alloc)基は、カルバメート形成によってアミンの保護目的に多用される。
強塩基によるエステル加水分解条件・求核条件・弱めのヒドリド還元条件に強く、パラジウム(0)触媒を用いる求核置換反応条件で除去可能。Cbzを除去する接触還元条件、Bocを除去す強酸条件には不安定である。
基本文献
- Kunz, H.; Unverzagt, C. Angew. Chem. Int. Ed. 1984, 23, 436. doi:10.1002/anie.198404361
- Morley, A. D. Tetrahedron Lett. 2000, 41, 7401. doi:10.1016/S0040-4039(00)01263-6
review
- Guibé, F. Tetrahedron 1997, 53, 13509. doi:10.1016/S0040-4020(97)00524-3
- Guibé, F. Tetrahedron 1998, 54, 2967. doi:10.1016/S0040-4020(97)10383-0
反応機構
保護
クロロギ酸アリル(Alloc-Cl)が最も多用される。ピリジンやトリエチルアミンを塩基として添加し、アミンと反応させる。アミノ酸などに対しては、無機塩基をもちいるショッテン・バウマン条件なども簡便である。
脱保護
パラジウム(0)触媒を作用させると、π-アリルパラジウム中間体を生じ、適切な求核剤(モルホリンや1,3-ジケトンなど)を共存させるとそれが捕捉される形で脱保護が行える。脱保護後のアミンがπ-アリルパラジウムに求核攻撃し、しばしばN-アリルアミンを副生物として与える。
反応例
I2条件での脱保護[1]
参考文献
- Szumigala, R. H. Jr.; Onofiok, K.; Karady, S.; Armstrong, J. D. III; Miller, R. A. Tetrahedron Lett. 2005, 46, 4403. doi: 10.1016/j.tetlet.2005.04.064
関連反応
- カルバメート系保護基
- メリフィールド ペプチド固相合成法
- 2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル保護基
- 2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニル保護基
- ベンジルオキシカルボニル保護基
- 9-フルオレニルメチルオキシカルボニル保護基
- tert-ブトキシカルボニル保護基