[スポンサーリンク]

H

林・ヨルゲンセン触媒 Hayashi-Jørgensen Catalyst

[スポンサーリンク]

概要

ジアリールプロリノールシリルエーテルは各種アルデヒドとエナミン/イミニウム型の活性中間体を形成し、各種不斉化学反応を高いエナンチオ選択性で進行させる、取扱い容易な有機触媒である。原型であるプロリン触媒と比べて活性や溶解性の面で大幅な改善が達成されている。

林雄二郎Karl Anker Jørgensenそれぞれによって同時期に開発されたことから、林-Jørgensen触媒と呼称される。MacMillan触媒がイミニウム型反応を主に進行させるのに対し、こちらはエナミン型反応に対して威力を発揮することが多い。

基本文献

  • Marigo, M.; Wabnitz, T. C.; Fielenbach, D.; Jørgensen, K. A. Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 794. DOI: 10.1002/anie.200462101
  • Hayashi, Y.; Gotoh, H.; Hayashi, T.; Shoji, M. Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 4212. DOI: 10.1002/anie.200500599
  • Franzen, J.; Marigo, M.; Fielenbach, D.; Wabnitz, T. C.; Kjarsgaard, A.; Jørgensen, K. A. J. Am. Chem. Soc. 2005127, 18296. DOI: 10.1021/ja056120u
<review>

 

反応機構

ブレンステッド酸共触媒(A-H)の添加が劇的な効果を及ぼす。各過程は比較的よく調べられている。(参考:Helv. Chim. Acta 2011, 94, 719; J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 8822; J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 6741.)

Hayashi_Jorgensen_3

反応例

独自開発したカスケード反応を用いるタミフルの超効率的合成[1]Hayashi_Jorgensen_2

参考文献

  1. Ishikawa, H.; Suzuki, T.; Hayashi, Y. Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 1304. DOI: 10.1002/anie.200804883

関連書籍

[amazonjs asin=”B00EMC5GWO” locale=”JP” title=”Comprehensive Enantioselective Organocatalysis: Catalysts, Reactions, and Applications, 3 Volume Set”][amazonjs asin=”3527305173″ locale=”JP” title=”Asymmetric Organocatalysis: From Biomimetic Concepts to Applications in Asymmetric Synthesis”][amazonjs asin=”B00A9YGVLO” locale=”JP” title=”Asymmetric Organocatalysis in Natural Product Syntheses: 96 (Progress in the Chemistry of Organic Natural Products)”][amazonjs asin=”4882319136″ locale=”JP” title=”有機分子触媒の新展開 (CMC Books)”]

 

関連リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. ネニチェスク インドール合成 Nenitzescu Indole…
  2. アルコールのアルカンへの還元 Reduction from Al…
  3. ウィルゲロット反応 Willgerodt Reaction
  4. リーベン ハロホルム反応 Lieben Haloform Re…
  5. ライマー・チーマン反応 Reimer-Tiemann React…
  6. 奈良坂・プラサード還元 Narasaka-Prasad Redu…
  7. クラウソン=カース ピロール合成 Clauson-Kaas Py…
  8. クロム(η6-アレーン)カルボニル錯体 Cr(η6-arene)…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 分子のねじれの強さを調節して分子運動を制御する
  2. 山口健太郎 Kentaro Yamaguchi
  3. 毒劇アップデート
  4. 文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり ⑦:「はん蔵」でラクラク捺印の巻
  5. 転職を成功させる「人たらし」から学ぶ3つのポイント
  6. 最も引用された論文
  7. CRISPRで薬剤分子-タンパク相互作用を解明する
  8. ケムステのライターになって良かったこと
  9. 化学物質の管理が厳格化! -リスクアセスメント-
  10. 本多 健一 Kenichi Honda

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2014年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

注目情報

最新記事

人工光合成の方法で有機合成反応を実現

第653回のスポットライトリサーチは、名古屋大学 学際統合物質科学研究機構 野依特別研究室 (斎藤研…

乙卯研究所 2025年度下期 研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

次世代の二次元物質 遷移金属ダイカルコゲナイド

ムーアの法則の限界と二次元半導体現代の半導体デバイス産業では、作製時の低コスト化や動作速度向上、…

日本化学連合シンポジウム 「海」- 化学はどこに向かうのか –

日本化学連合では、継続性のあるシリーズ型のシンポジウムの開催を企画していくことに…

【スポットライトリサーチ】汎用金属粉を使ってアンモニアが合成できたはなし

Tshozoです。 今回はおなじみ、東京大学大学院 西林研究室からの研究成果紹介(第652回スポ…

第11回 野依フォーラム若手育成塾

野依フォーラム若手育成塾について野依フォーラム若手育成塾では、国際企業に通用するリーダー…

第12回慶應有機化学若手シンポジウム

概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大学理工学部・…

新たな有用活性天然物はどのように見つけてくるのか~新規抗真菌剤mandimycinの発見~

こんにちは!熊葛です.天然物は複雑な構造と有用な活性を有することから多くの化学者を魅了し,創薬に貢献…

創薬懇話会2025 in 大津

日時2025年6月19日(木)~6月20日(金)宿泊型セミナー会場ホテル…

理研の研究者が考える未来のバイオ技術とは?

bergです。昨今、環境問題や資源問題の関心の高まりから人工酵素や微生物を利用した化学合成やバイオテ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー