概要
炭素-炭素結合は有機化合物に含まれる中でもっとも強固な結合で有り、これを切断して別種の変換に用いる試みは、有機合成化学界における最先端かつ最難課題の一つである。アトムエコノミーの観点からも効率的であり、またこれまでにない化合物合成経路の実現、未知の物質創成にも寄与しうる。
触媒反応の典型例としてはオレフィンメタセシスが知られている一方、炭素-炭素単結合の切断は足がかりに乏しく、未だ困難な課題とされている。遷移金属触媒によって実現されている例としては、配位性官能基近傍、もしくはひずんだ炭素環を標的とする方法論がよく研究されている。
複雑化合物合成への応用は今後の研究課題とされている。
基本文献
<review>
- Jun, C.-H. Chem. Soc. Rev. 2004, 33, 610. DOI: 10.1039/B308864M
- Kondo, T.; Mitsudo, T. Chem. Lett. 2005, 11, 1462. doi:10.1246/cl.2005.1462
- Murakami, M.; Matsuda, T. Chem. Commun. 2011, 47, 1100. DOI: 10.1039/C0CC02566F
- Nakao, Y. Bull. Chem. Soc. Jpn. 2012, 85, 731. doi:10.1246/bcsj.20120081
反応例
C-C結合活性化を鍵過程とするCycloinumakiolの全合成[1]
ベンゼン環の切断反応[2]
ニッケル触媒を用いるカルボシアネーション反応[3]
参考文献
- Xu, T.; Dong, G. Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53,10773. DOI: 10.1002/anie.201404802
- Hu, S.; Shima, T.; Hou, Z. Nature 2014, 512, 413. DOI:10.1038/nature13624
- Nakao, Y. Bull. Chem. Soc. Jpn. 2012, 85, 731. doi:10.1246/bcsj.20120081
関連書籍
[amazonjs asin=”B00ONSWNKK” locale=”JP” title=”Homogeneous Catalysis for Unreactive Bond Activation”][amazonjs asin=”352733632X” locale=”JP” title=”Cleavage of Carbon-Carbon Single Bonds by Transition Metals”][amazonjs asin=”3642550541″ locale=”JP” title=”C-C Bond Activation (Topics in Current Chemistry)”]
関連リンク
- 最近の論文から~炭素-炭素結合を切る!?~ (有機って面白いよね!)