[スポンサーリンク]

D

ジオトロピー転位 dyotropic rearrangement

[スポンサーリンク]

 

概要

2つのσ結合が分子内で協奏的に組み変わりを起こす形の転位をジオトロピー転位と言う。

I型ジオトロピー転位は、移動する原子団同士がその位置を交換する形式、II型ジオトロピー転位は互いの位置関係を保ったままに新たな位置に結合を組み替える形式を指す。

基本文献

 

反応機構

I型の場合は、互いの置換基がtransの位置関係にあるときに起こりやすい。

 

反応例

いくつかの天然物合成にも利用されている。

Curcumanolide Aの全合成[1]dyotropic_2.gif

エノールエーテルリチオ化体を銅アート錯体とすると、ジオトロピー転位経由でアルケニル基上での置換反応が起こる。幾何異性は反転する。下記はFK-506のフラグメント合成に応用された例。[2]

dyotropic_3.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Leverett, C. A.; Purohit, V. C.; Johnson, A. G.; Davis, R. L.; Tantillo, D. J. Romo, D. J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 13348. DOI: 10.1021/ja303414a
[2] Stocks, M.; Kocienski, P.; Donald, D. K. Tetrahedron Lett. 1990, 31, 1637. doi: 10.1016/0040-4039(90)80037-M

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4759808752″ locale=”JP” title=”ペリ環状反応―第三の有機反応機構”][amazonjs asin=”3527314393″ locale=”JP” title=”Pericyclic Reactions – A Textbook: Reactions, Applications and Theory”][amazonjs asin=”3527332944″ locale=”JP” title=”Tautomerism: Methods and Theories”]

 

外部リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. フリードレンダー キノリン合成 Friedlander Quin…
  2. オレフィンメタセシス Olefin Metathesis
  3. ウィリアムソンエーテル合成 Williamson ether s…
  4. ボラン錯体 Borane Complex (BH3・L)
  5. ルチッカ大員環合成 Ruzicka Large Ring Sy…
  6. 求電子的トリフルオロメチル化 Electrophilic Tri…
  7. ビナミジニウム塩 Vinamidinium Salt
  8. ストーク エナミン Stork Enamine

注目情報

ピックアップ記事

  1. アメリカ大学院留学:研究室選びの流れ
  2. 北九州における化学企業の盛んな生産活動
  3. ホフマン転位 Hofmann Rearrangement
  4. 薬が足りない!?ジェネリック医薬品の今
  5. 2010年ノーベル化学賞予想―海外版
  6. ネイチャー論文で絶対立体配置の”誤審”
  7. 【書籍】「世界一美しい数学塗り絵」~宇宙の紋様~
  8. ワークアップの悪夢 反応後の後処理で困った場合の解決策
  9. 不安定試薬の保管に!フードシーラーを活用してみよう
  10. タキサン類の全合成

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2014年1月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2024年12月号:パラジウム-ヒドロキシ基含有ホスフィン触媒・元素多様化・縮環型天然物・求電子的シアノ化・オリゴペプチド合成

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年12月号がオンライン公開されています。…

「MI×データ科学」コース ~データ科学・AI・量子技術を利用した材料研究の新潮流~

 開講期間 2025年1月8日(水)、9日(木)、15日(水)、16日(木) 計4日間申込みはこ…

余裕でドラフトに収まるビュッヒ史上最小 ロータリーエバポレーターR-80シリーズ

高性能のロータリーエバポレーターで、効率良く研究を進めたい。けれど設置スペースに限りがあり購入を諦め…

有機ホウ素化合物の「安定性」と「反応性」を両立した新しい鈴木–宮浦クロスカップリング反応の開発

第 635 回のスポットライトリサーチは、広島大学大学院・先進理工系科学研究科 博士…

植物繊維を叩いてアンモニアをつくろう ~メカノケミカル窒素固定新合成法~

Tshozoです。今回また興味深い、農業や資源問題の解決の突破口になり得る窒素固定方法がNatu…

自己実現を模索した50代のキャリア選択。「やりたいこと」が年収を上回った瞬間

50歳前後は、会社員にとってキャリアの大きな節目となります。定年までの道筋を見据えて、現職に留まるべ…

イグノーベル賞2024振り返り

ノーベル賞も発表されており、イグノーベル賞の紹介は今更かもしれませんが紹介記事を作成しました。 …

亜鉛–ヒドリド種を持つ金属–有機構造体による高温での二酸化炭素回収

亜鉛–ヒドリド部位を持つ金属–有機構造体 (metal–organic frameworks; MO…

求人は増えているのになぜ?「転職先が決まらない人」に共通する行動パターンとは?

転職市場が活発に動いている中でも、なかなか転職先が決まらない人がいるのはなぜでしょう…

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP