[スポンサーリンク]

B

ベシャンプ還元 Bechamp Reduction

[スポンサーリンク]

 

概要

芳香族ニトロ化合物の還元反応。鉄粉+HClの条件が古典的。二価の塩化スズなども同様の目的に用いられる。

基本文献

  • Bechamp, A. J. Ann. Chim. Phys. 185442, 186.
  • Org. React.1944, 2, 428.

 

開発の歴史

1854年フランスの化学者Béchampによって発見された還元法。Béchampはその他にもフェノールやアニリンの求電子的ヒ素化反応(Bechamp reaction, Bechamp aniline, phenol atsonilation)も開発している。

Pierre Jacques Antoine Béchamp

Pierre Jacques Antoine Béchamp

 

反応機構

反応例

2014-09-02_14-50-30
実験手順

Reduction of 4-Nitroacetophenone (PDF)

250mLの3つ口フラスコに600 mLの1,2-propylene glycolとエタノール(70 mL) 、 4-Nitroacetophenone (3.30 g, 20.0 mmol) and 鉄 (4.19 g, 75.0 mmol) を加える。反応混合物を60℃に熱し、濃塩酸(15 mL)を滴下ロートを使って30分間かけて加える。その後、1時間還流を行うと、鉄粉がほぼ溶解する。反応後、室温に戻し、水(200 mL)が入った1000 mLDuran flask(撹拌子入)に溶液を注ぐ。撹拌を続けながら、水酸化ナトリウム(c = 2 mol/L)を加える (水酸化鉄の生成)を加えpH試験紙で確認しながら中和する。続いて、酢酸エチル(150 mL)を加え、15分間撹拌する。抽出分離を行い、硫酸ナトリウムで乾燥、その後濾過、溶液を減圧留去し、粗生成物を得る。粗生成物は150 mLの水で再結晶を行い、対応する芳香族アミンを得る。

 

実験のコツ・テクニック

参考文献

関連書籍

[amazonjs asin=”B009WOKMQW” locale=”JP” title=”Oxidation and reduction in organic chemistry from the standpoint of potential differences; the system hydroquinone and quinone”]

 

外部リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. ルーシェ還元 Luche Reduction
  2. ヒドロホルミル化反応 Hydroformylation
  3. ガッターマン・コッホ反応 Gattermann-Koch Rea…
  4. シェンヴィ イソニトリル合成 Shenvi Isonitrile…
  5. クルチウス転位 Curtius Rearrangement
  6. クラベ アレン合成 Crabbe Allene Synthesi…
  7. アセタール還元によるエーテル合成 Ether Synthesis…
  8. 根岸カルボメタル化 Negishi Carbometalatio…

注目情報

ピックアップ記事

  1. コバルト触媒でアリル位C(sp3)–H結合を切断し二酸化炭素を組み込む
  2. 超原子価臭素試薬を用いた脂肪族C-Hアミノ化反応
  3. ソラノエクレピンA (solanoeclepin A)
  4. 元素のふるさと図鑑
  5. バリー・シャープレス Karl Barry Sharpless
  6. 海水から微量リチウムを抽出、濃縮できる電気化学セルを開発
  7. 熱分析 Thermal analysis
  8. フランク・グローリアス Frank Glorius
  9. クネーフェナーゲル ピリジン合成 Knoevenagel Pyridine Synthesis
  10. 星本 陽一 Yoichi Hoshimoto

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2011年5月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

AI分子生成の導入と基本手法の紹介

本記事では、AIや情報技術を用いた分子生成技術の有機分子設計における有用性や代表的手法について解説し…

第53回ケムステVシンポ「化学×イノベーション -女性研究者が拓く未来-」を開催します!

第53回ケムステVシンポの会告です!今回のVシンポは、若手女性研究者のコミュニティと起業支援…

Nature誌が発表!!2025年注目の7つの技術!!

こんにちは,熊葛です.毎年この時期にはNature誌で,その年注目の7つの技術について取り上げられま…

塩野義製薬:COVID-19治療薬”Ensitrelvir”の超特急製造開発秘話

新型コロナウイルス感染症は2023年5月に5類移行となり、昨年はこれまでの生活が…

コバルト触媒による多様な低分子骨格の構築を実現 –医薬品合成などへの応用に期待–

第 642回のスポットライトリサーチは、武蔵野大学薬学部薬化学研究室・講師の 重…

ヘム鉄を配位するシステイン残基を持たないシトクロムP450!?中には21番目のアミノ酸として知られるセレノシステインへと変異されているP450も発見!

こんにちは,熊葛です.今回は,一般的なP450で保存されているヘム鉄を配位するシステイン残基に,異な…

有機化学とタンパク質工学の知恵を駆使して、カリウムイオンが細胞内で赤く煌めくようにする

第 641 回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院理学系研究科化学専攻 生…

CO2 の排出はどのように削減できるか?【その1: CO2 の排出源について】

大気中の二酸化炭素を減らす取り組みとして、二酸化炭素回収·貯留 (CCS; Carbon dioxi…

モータータンパク質に匹敵する性能の人工分子モーターをつくる

第640回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所・総合研究大学院大学(飯野グループ)原島崇徳さん…

マーフィー試薬 Marfey reagent

概要Marfey試薬(1-フルオロ-2,4-ジニトロフェニル-5-L-アラニンアミド、略称:FD…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー