概要
最もよく使われる還元剤の一つ。湿気に安定で空気中でも取り扱え、工業的利用にも適している。溶解性の問題から、メタノール・エタノールを溶媒として用いるのが常である。
特にケトン・アルデヒドをアルコールに還元する場合のFirst Choiceとして用いられる。反応は通常大変早く、簡便に行える。
通常エステル、アミド、カルボン酸・ニトリルは還元できないが、エステルのカルボニルα位にヘテロ原子が置換している場合には、例外的にエステルを還元することが出来る(おそらく配向基としての近接位担持効果のため)。
α,β不飽和カルボニル化合物に対しては、1,4-還元が優先するが、セリウム塩の添加により1,2-還元を優先させることが出来る(Luche還元)。
基本文献
- Schlesinger, H. I. et al. J. Am. Chem. Soc. 1953, 75 , 186. DOI: 10.1021/ja01097a049
- Dalla, V.; Catteau, J. P.; Pale, P. Tetrahedron Lett. 1999, 40, 5193. doi:10.1016/S0040-4039(99)01006-0
反応機構
反応例
BF3存在下で反応を行うと、カルボン酸をアルコールにまで還元することが可能。[1]
ヨウ素存在下にて、系中でBH3-THF錯体を生成させることができる。このためカルボン酸をアルコールに還元することができる。[2]
実験手順
実験のコツ・テクニック
参考文献
[1] Quallich, G. J.; Makowski, T. W.; Sanders, A. F.; Urban, F. J.; Vazquez, E. J. Org .Chem. 1998, 63, 4116. DOI: 10.1021/jo972184e[2] McKennon, M. J.; Meyers, A. I.; Drauz, K.; Schwarm, M. J. Org. Chem. 1993, 58, 3568. DOI: 10.1021/jo00065a020
関連反応
- 水素化トリ(sec-ブチル)ホウ素リチウム/ナトリウム/カリウム L/N/K-Selectride
- 水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム Red-Al
- ボラン錯体 Borane Complex (BH3・L)
- 水素化ジイソブチルアルミニウム Diisobutylaluminium hydride
- 水素化リチウムアルミニウム Lithium Alminum Hydride (LAH)
- 金属水素化物による還元 Reduction with Metal Hydride
関連書籍
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外部リンク
- 1,2-還元と1,4-還元(有機って面白いよね!)
- ヒドリド還元- Wikipedia
- Sodium Borohydride – Wikipedia
- 水素化ホウ素ナトリウム – Wikipedia
- Sodium Borohydride(有機化学美術館)
- ボロハイドライド(Tech-On)
- Direct Borohydride Fuel Cell – Wikipedia