[スポンサーリンク]

odos 有機反応データベース

トロスト不斉アリル位アルキル化反応 Trost Asymmetric Allylic Alkylation

[スポンサーリンク]

アルコール・エステル → エーテル、アミン、アルカン etc

 

概要

パラジウムおよび適切な光学活性リン配位子を触媒量用いることで、不斉辻-Trost反応が可能である。TrostらおよびPfaltzらによって開発された不斉配位子がよく用いられている。

近年ではモリブデンやイリジウムなどを中心金属として用いて、分枝状置換体を光学活性な形で得る手法が発展しつつある。

基本文献

  • Trost, B. M.; Dietsch, T. J. J. Am. Chem. Soc. 1973, 95, 8200. DOI: 10.1021/ja00805a056
  • Trost, B. M.; Strege, P. E. J. Am. Chem. Soc. 1977, 99, 1649. DOI: 10.1021/ja00447a064
  • Trost, B. M.; Van Vranken, D. L. Chem. Rev. 1996, 96, 395. DOI: 10.1021/cr9409804
  • Trost, B. M.; Crawley, M. L. Chem. Rev. 2003, 103, 2921. DOI: 10.1021/cr020027w
  • Trost, B. M.; Machacek, M. R.; Aponick, A. Acc. Chem. Res. 2006, 39. 747. DOI: 10.1021/ar040063c
  • Trost, B. M.; Fandrick, D. R. Aldrichimica Acta 2007, 40, 59. [PDF]

 

反応機構

辻-Trost反応を参照。

 

反応例

(-)-Terpestacinの合成[1]:不斉辻-Trost反応→ジオスフェノールクライゼン転位の連続変換を巧みに用い、不斉中心を構築している。

tsuji_trost_6.gif

トリメチレンメタン種の不斉付加反応[2]

tsuji_trost_11.gif

(-)-Cyanthiwigin Fの全合成[3]:エノラートの分子内AAA[4]が鍵反応。不斉四級炭素を構築できる強力な条件。

tsuji_trost_8.gif

Oseltamivirの合成[5]

tsuji_trost_10.gif

モリブデン触媒を用いる、分枝選択的AAA[6]

tsuji_trost_13.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Trost, B. M.; Dong, G. Vance, J. A. J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 4540. DOI: 10.1021/ja070571s
[2] Trost, B. M.; Stambuli, J. P.; Silverman, S. M.; Schworer, U. J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 13328. DOI: 10.1021/ja0640750
[3] Enquist, J. A.; Stoltz, B. M. Nature 2008, 453, 1228. doi:10.1038/nature07046
[4] Behenna, D. C.; Stoltz, B. M. J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 15004. DOI: 10.1021/ja044812x
[5] Trost, B. M.; Zhang, T. Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 3759. doi:10.1002/anie.200800282
[6] Trost, B. M.; Hachiya, I. J. Am. Chem. Soc. 1998, 120, 1104. DOI: 10.1021/ja973298a

 

関連書籍

[amazonjs asin=”0471315060″ locale=”JP” title=”Handbook of Organopalladium Chemistry for Organic Synthesis: Volume 1 and Volume 2″][amazonjs asin=”0124666159″ locale=”JP” title=”Handbook of Palladium-Catalysed Organic Reactions”]

 

外部リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. ピロティ・ロビンソン ピロール合成 Piloty-Robinso…
  2. 辻・ウィルキンソン 脱カルボニル化反応 Tsuji-Wilkin…
  3. セイファース・ギルバート アルキン合成 Seyferth-Gil…
  4. 交差アルドール反応 Cross Aldol Reaction
  5. マッテソン増炭反応 Matteson Homologation
  6. 超音波有機合成 Sonication in Organic Sy…
  7. ドウド・ベックウィズ環拡大反応 Dowd-Beckwith Ri…
  8. ハンチュ エステルを用いる水素移動還元 Transfer Hyd…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 人名反応に学ぶ有機合成戦略
  2. 新コンテンツ「ケムステまとめ」をオープン
  3. Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis
  4. ダニシェフスキー・北原ジエン Danishefsky-Kitahara Diene
  5. 侯召民教授の講演を聴講してみた
  6. 中国へ行ってきました 西安・上海・北京編①
  7. 「化学と工業」読み放題になったの知ってますか?+特別キャンペーン
  8. ケムステイブニングミキサー2017へ参加しよう!
  9. 「超分子」でナノホース合成 人工毛細血管に道
  10. アメリカ大学院留学:研究者キャリアとライフイベント

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2010年1月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

四置換アルケンのエナンチオ選択的ヒドロホウ素化反応

四置換アルケンの位置選択的かつ立体選択的な触媒的ヒドロホウ素化が報告された。電子豊富なロジウム錯体と…

【12月開催】 【第二期 マツモトファインケミカル技術セミナー開催】 題目:有機金属化合物 オルガチックスのエステル化、エステル交換触媒としての利用

■セミナー概要当社ではチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素等の有機金属化合物を“オルガチッ…

河村奈緒子 Naoko Komura

河村 奈緒子(こうむら なおこ, 19xx年xx月xx日-)は、日本の有機化学者である。専門は糖鎖合…

分極したBe–Be結合で広がるベリリウムの化学

Be–Be結合をもつ安定な錯体であるジベリロセンの配位子交換により、分極したBe–Be結合形成を初め…

小松 徹 Tohru Komatsu

小松 徹(こまつ とおる、19xx年xx月xx日-)は、日本の化学者である。東京大学大学院薬学系研究…

化学CMアップデート

いろいろ忙しくてケムステからほぼ一年離れておりましたが、少しだけ復活しました。その復活第一弾は化学企…

固有のキラリティーを生むカリックス[4]アレーン合成法の開発

不斉有機触媒を利用した分子間反応により、カリックスアレーンを構築することが可能である。固有キラリ…

服部 倫弘 Tomohiro Hattori

服部 倫弘 (Tomohiro Hattori) は、日本の有機化学者。中部大学…

ぱたぱた組み替わるブルバレン誘導体を高度に置換する

容易に合成可能なビシクロノナン骨格を利用した、簡潔でエナンチオ選択的に多様な官能基をもつバルバラロン…

今年は Carl Bosch 生誕 150周年です

Tshozoです。タイトルの件、本国で特に大きなイベントはないようなのですが、筆者が書かずに誰が…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP