ケトン→アルコール
概要
α-ピネンと9-BBNから調製されるAlpine-Boraneを用い、ケトンの不斉還元を行う手法。プロキラルな基質としては重水素化アルデヒドも適用可能。
Alpine-Boraneは両エナンチオマーが市販されている。
基本文献
- Midland, M. M. Chem. Rev. 1989, 89, 1553. DOI: 10.1021/cr00097a010
- Singh, V. K. Synthesis 1992, 607.
- Brown, H. C.; Ramachandran, P. V. J. Organomet. Chem. 1995, 500, 1.
反応機構
メチル基との立体反発を避けるように大きな置換基(RL)を配置させた遷移状態モデルで、エナンチオ選択性は説明される。
反応例
とりわけキラルプロパルギルアルコールの合成に有用。[1]
実験手順
R-Alpine Borane(0.5M in THF, 57.2mL, 28.6 mmol)をケトン(5.21g, 14.3mmol)にゆっくり加える。室温で36時間撹拌し、溶媒を減圧留去し、残渣にエーテル(200mL)を加える。エタノールアミン(1.72mL, 28.6mmol)をゆっくり加え、生じた黄色沈殿をセライトろ過する。ろ液を濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィで精製して目的物を白色固体として得る(4.44g, 収率85%, 89%ee)。
実験のコツ・テクニック
参考文献
[1] Midland, M. M.; Graham, R. S. Org. Synth. 1985, 63, 57. [2] Dussault, P. H. et al. J. Org. Chem. 1999, 64, 1789. DOI: 10.1021/jo981128q
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