[スポンサーリンク]

F

フィッシャーカルベン錯体 Fischer Carbene Complex

[スポンサーリンク]

 

概要

クロムカルボニル上のカルボニル配位子と有機リチウム剤が反応して生じたリチウムアルコキシドを、ジアゾメタンやMeerwein試薬などのハードメチル(エチル)化剤で捕捉してやることで、Fischerカルベン錯体が調製できる。

カルベン炭素はカルボニル配位子の電子求引性のため、求核攻撃を受けやすい。 同様の理由から、カルベン炭素α位プロトンの酸性度が増大(pKa~12)するため、塩基によって容易に脱プロトン化される。生じたカルボアニオンは種々の求電子剤と反応する。このためFischerカルベン錯体は、有機合成化学的にはエステル等価体と見なされる。

fischer_carbene_2.gif

基本文献

 

反応機構

fischer_carbene_5.gif

反応例

アリールFischerカルベン錯体とアルキンを混合し加熱すると、環化反応が進行し、引き続く酸化的処理によって4-アルコキシフェノールが得られる。(Dötz反応)[1] fischer_carbene_4.gif
光照射によりケテンを発生させることができる。以下はStaudinger[2+2]環化を経て、βラクタム合成へと応用した例である。
fischer_carbene_3.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Dotz, K. H. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 197514, 644. doi:10.1002/anie.197506442.

 

関連反応

 

関連書籍

 

外部リンク

関連記事

  1. ネイティブ・ケミカル・ライゲーション Native Chemic…
  2. ジョンソン オレフィン合成 Johnson Olefinatio…
  3. フェルキン・アーン モデル Felkin-Anh Model
  4. ベンジル酸転位 Benzilic Acid Rearrangem…
  5. カイザーテスト Kaiser Test
  6. ストーク エナミン Stork Enamine
  7. メチオニン選択的タンパク質修飾反応 Met-Selective …
  8. チチバビン反応 Chichibabin Reaction

注目情報

ピックアップ記事

  1. 生命の起源に迫る水中ペプチド合成法
  2. 【化学×AI・機械学習クラウド】実験科学者・エンジニア自身が実践するデータサイエンス/データケミカル株式会社
  3. 留学せずに英語をマスターできるかやってみた(2年目)
  4. 「ソーシャルメディアを活用したスタートアップの価値向上」 BlockbusterTOKYO 2020 第9回 研修プログラムを実施!
  5. 【書籍】Pythonで動かして始める量子化学計算
  6. 危険!DDT入りの蚊取り線香
  7. ソラノエクレピンA (solanoeclepin A)
  8. ポンコツ博士の海外奮闘録XIV ~博士,釣りをする~
  9. 偶然生まれた新しい青色「YInMnブルー」の油絵具が日本で限定発売される
  10. 文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり⑤:ショットノートの巻

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年9月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

注目情報

最新記事

ヤーン·テラー効果 Jahn–Teller effects

縮退した電子状態にある非線形の分子は通常不安定で、分子の対称性を落とすことで縮退を解いた構造が安定で…

鉄、助けてっ(Fe)!アルデヒドのエナンチオ選択的α-アミド化

鉄とキラルなエナミンの協働触媒を用いたアルデヒドのエナンチオ選択的α-アミド化が開発された。可視光照…

4種のエステルが密集したテルペノイド:ユーフォルビアロイドAの世界初の全合成

第637回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院薬学系研究科・天然物合成化学教室(井上将行教授主…

そこのB2N3、不対電子いらない?

ヘテロ原子のみから成る環(完全ヘテロ原子環)のπ非局在型ラジカル種の合成が達成された。ジボラトリアゾ…

経済産業省ってどんなところ? ~製造産業局・素材産業課・革新素材室における研究開発専門職について~

我が国の化学産業を維持・発展させていくためには、様々なルール作りや投資配分を行政レベルから考え、実施…

第51回ケムステVシンポ「光化学最前線2025」を開催します!

こんにちは、Spectol21です! 年末ですが、来年2025年二発目のケムステVシンポ、その名…

ケムステV年末ライブ2024を開催します!

2024年も残り一週間を切りました! 年末といえば、そう、ケムステV年末ライブ2024!! …

世界初の金属反応剤の単離!高いE選択性を示すWeinrebアミド型Horner–Wadsworth–Emmons反応の開発

第636回のスポットライトリサーチは、東京理科大学 理学部第一部(椎名研究室)の村田貴嗣 助教と博士…

2024 CAS Future Leaders Program 参加者インタビュー ~世界中の同世代の化学者たちとかけがえのない繋がりを作りたいと思いませんか?~

CAS Future Leaders プログラムとは、アメリカ化学会 (the American C…

第50回Vシンポ「生物活性分子をデザインする潜在空間分子設計」を開催します!

第50回ケムステVシンポジウムの開催告知をさせて頂きます!2020年コロナウイルスパンデミッ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP