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求核剤担持型脱離基 Nucleophile-Assisting Leaving Groups (NALGs)

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概要

求核剤担持型脱離基(Nucleophile-Assisting Leaving Groups; NALGsは配位性原子を持ち、金属求核剤を置換反応点近傍に固定する。これにより反応性の向上・化学選択性の向上が期待されるばかりでなく、合理的に進行させることが難しい立体保持置換(SNi反応)を起こすことができる。

現時点では求核剤の制限が大きいという欠点があるものの、今後の発展に期待したい。

基本文献

  • Lepore, S. D.; Bhunia, A. K.; Cohn, P. C. J. Org. Chem. 2005, 70, 8117. DOI:10.1021/jo051241y
  • Lepore, S. D.; Bhunia, A. K.; Mondal, D.; Cohn, P. C.; Lefkowitz, C. J. Org. Chem. 2006, 71, 3285. DOI: 10.1021/jo052333q
  • Review: Lepore, S. D.; Mondal, D. Tetrahedron 200763, 5103. doi:10.1016/j.tet.2007.03.049
  • Lepore, S.D.; Mondal, D.; Li, S.Y.; Bhunia, A. K. Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 7511. DOI: 10.1002/anie.200802472
  • Lu, S.-Y.; Lepore, S. D.; Li, S. Y.; Mondal, D.; Cohn, P. C.; Bhunia, A. K.; Pike, V. W. J. Org. Chem. 2009, 74, 5290. DOI: 10.1021/jo900700j

 

反応機構

冒頭の反応スキームを参照。

 

反応例

(+)-Microcladalleneの全合成[1]
NALGs_2.gif
NALGアジド化[2]:カチオン性を帯びた中間体を経て、SNi反応形式で置換が進行する。
NALGs_4.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Park, J.; Kim, B.; Kim, H.; Kim, S.; Kim, D. Angew. Chem. Int. Ed. 2006, 46, 4726. DOI:10.1002/anie.200700854.

[2] Lepore, S.D.; Mondal, D.; Li, S.Y.; Bhunia, A. K. Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 7511. DOI: 10.1002/anie.200802472

 

関連反応

 

関連書籍

 

外部リンク

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