[スポンサーリンク]

C

金属カルベノイドを用いるシクロプロパン化 Cyclopropanation with Metal Carbenoid

[スポンサーリンク]

 

概要

金属触媒存在下にジアゾ化合物は分解を受け、金属カルベノイド種が生成する。これはオレフィンと反応してシクロプロパンを与える。

芳香環の二重結合とも反応する。この場合は、ジビニルシクロプロパン転位を経てシクロヘプタトリエン骨格を与える(Buchner環拡大反応)。

適切な不斉配位子を用いることで、不斉合成も可能である。

 

基本文献

<Buchner ring expansion>

  • Buchner, E. Ber. 1896, 29, 106. (1896);
  • Buchner, E.; Schottenhammer, K. Ber.192053, 865.
  • Anciaux, A. J.; Demonceau, A.; Noels, A. F.; Hubert, A. J.; Warin, E.; Teyssie. P. J. Org. Chem.1981, 46, 873. DOI: 10.1021/jo00318a010
  • Review: Ye, T.; McKervey, M. A. Chem. Rev.1994,94, 1091. DOI: 10.1021/cr00028a010

 

反応機構

金属カルベノイドのC-H挿入反応を参照。

 

反応例

不斉シクロプロパン化[1] cyclopropane_carbenoid_3.gif
Harringtonolideの合成[2] cyclopropane_carbenoid_4.gif

 

銅を用いたシクロプロパン化反応により (−) verbenalol and (−) epiverbenalolの合成に成功している。[3]

2014-08-19_15-45-53

 

 

反応機構は次のとおりである。

2014-08-19_15-46-48

分子間反応も可能[4]

2014-08-19_15-48-10

 

シクロプロパン化反応、続くコープ転位により下記のような環状ラクトンも合成できる。[5]

2014-08-19_15-53-43

実験手順

実験のコツ・テクニック

参考文献

[1] Evans, D. A. et al. J. Am. Chem. Soc. 1991113, 726. DOI: 10.1021/ja00002a080

[2] (a) Mander, L. N. et al. J. Am. Chem. Soc. 1998120, 1914. DOI: 10.1021/ja9738081 (b) Mander, L. N. et al. Aust. J. Chem. 200053, 819. doi:10.1071/CH00124

[3] Laabassi, M.; Grbe, R. Tetrahedron Lett. 1988, 29, 611. DOI: 10.1016/S0040-4039(00)80163-X

[4] Marino, J. P.; Silveira, C.; Comasseto, J.; Petragnani, N. J. Org.Chem. 1987, 52, 4139. DOI: 10.1021/jo00227a042

[5] Davies, H. M. L.; McAfee, M. J.; Oldenburg, C. E. M. J. Org. Chem. 1989, 54, 930. DOI: 10.1021/jo00265a037

 

関連反応

 

関連書籍

[amazonjs asin=”3639182804″ locale=”JP” title=”Intramolecular Cyclopropanation/Thermal Fragmentation Strategy”]

 

関連記事

  1. ニトロンの1,3-双極子付加環化 1,3-Dipolar Cyc…
  2. スルホニル保護基 Sulfonyl Protective Gro…
  3. メーヤワイン試薬 Meerwein Reagent
  4. ジムロート転位 (共役 1,3-双極子開環体経由) Dimrot…
  5. カーン グリコシド化反応 Kahne Glycosidation…
  6. ケネディ酸化的環化反応 Kennedy Oxydative Cy…
  7. フリードレンダー キノリン合成 Friedlander Quin…
  8. 熊田・玉尾・コリューカップリング Kumada-Tamao-Co…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 界面活性剤のWEB検索サービスがスタート
  2. ケムステ新コンテンツ「化学地球儀」
  3. ディーン・トースト F. Dean Toste
  4. 光学活性ジペプチドホスフィン触媒を用いたイミンとアレン酸エステルの高エナンチオ選択的 [3+2] 環化反応
  5. シンクロトロン放射光を用いたカップリング反応機構の解明
  6. ニセクロハツの強毒原因物質を解明 “謎の毒キノコ” 京薬大准教授ら
  7. 11/16(土)Zoom開催 【10:30~博士課程×女性のキャリア】 【14:00~富士フイルム・レゾナック 女子学生のためのセミナー】
  8. 優れた研究者は優れた指導者
  9. 【PR】 Chem-Stationで記事を書いてみませんか?【スタッフ募集】
  10. メタロペプチド触媒を用いるFc領域選択的な抗体修飾法

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年9月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2024年12月号:パラジウム-ヒドロキシ基含有ホスフィン触媒・元素多様化・縮環型天然物・求電子的シアノ化・オリゴペプチド合成

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年12月号がオンライン公開されています。…

「MI×データ科学」コース ~データ科学・AI・量子技術を利用した材料研究の新潮流~

 開講期間 2025年1月8日(水)、9日(木)、15日(水)、16日(木) 計4日間申込みはこ…

余裕でドラフトに収まるビュッヒ史上最小 ロータリーエバポレーターR-80シリーズ

高性能のロータリーエバポレーターで、効率良く研究を進めたい。けれど設置スペースに限りがあり購入を諦め…

有機ホウ素化合物の「安定性」と「反応性」を両立した新しい鈴木–宮浦クロスカップリング反応の開発

第 635 回のスポットライトリサーチは、広島大学大学院・先進理工系科学研究科 博士…

植物繊維を叩いてアンモニアをつくろう ~メカノケミカル窒素固定新合成法~

Tshozoです。今回また興味深い、農業や資源問題の解決の突破口になり得る窒素固定方法がNatu…

自己実現を模索した50代のキャリア選択。「やりたいこと」が年収を上回った瞬間

50歳前後は、会社員にとってキャリアの大きな節目となります。定年までの道筋を見据えて、現職に留まるべ…

イグノーベル賞2024振り返り

ノーベル賞も発表されており、イグノーベル賞の紹介は今更かもしれませんが紹介記事を作成しました。 …

亜鉛–ヒドリド種を持つ金属–有機構造体による高温での二酸化炭素回収

亜鉛–ヒドリド部位を持つ金属–有機構造体 (metal–organic frameworks; MO…

求人は増えているのになぜ?「転職先が決まらない人」に共通する行動パターンとは?

転職市場が活発に動いている中でも、なかなか転職先が決まらない人がいるのはなぜでしょう…

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP