概要
ニッケル、ロジウムなどを始めとし、さまざまな遷移金属錯体がアルキンの環化三量化触媒としてはたらくことが報告されている。なかでもジカルボニル(シクロペンタジエニル)コバルト
CpCp(CO)2は汎用性の高い触媒の一つとして知られている。
分子間反応では位置選択性の問題が常に付随するため、分子内反応を適切に組み合わせて用いられることが多い。
基本文献
- Vollhardt, K. P. C. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1984, 23, 539. doi:10.1002/anie.198405393
- Saito, S.; Yamamoto, Y. Chem. Rev. 2000,100, 2901. DOI: 10.1021/cr990281x
- 斉藤慎一, 山本嘉則, 有機合成化学協会誌 2001, 59, 346.
- Valera, J. A.; Saa, C. Chem. Rev. 2003, 103, 3787. DOI: 10.1021/cr030677f
- Omae, I. Appl. Organomet. Chem. 2007, 21, 318. DOI: 10.1002/aoc.1213
- Pauson, P.L. e-Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis. 2001. doi:10.1002/047084289X.rd078
反応機構
参考:J. Am. Chem. Soc. 1983, 105, 1907.
反応例
o-キノジメタン生成プロセスと組み合わせることで、複雑な縮環骨格を短工程で合成できる。
ニトリル一分子を組み込んだ、ピリジン誘導体合成も可能である。
不斉化の例[1]
ベンザイン(=ひずんだアルキン)の環化三量化
コンプラナジンAの全合成[2]
実験手順
実験のコツ・テクニック
参考文献
[1] Sato, Y.; Nishimata, T.; Mori, M. J. Org. Chem. 1994, 59, 6133. DOI: 10.1021/jo00100a003[2] Yuan, C.; Chang, C-T.; Axelrod, A.; Siegel, D. J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 5924. DOI: 10.1021/ja101956x
関連反応
- 環化異性化反応 Cycloisomerization
- クリンコヴィッチ反応 Kulinkovich Reaction
- ニコラス反応 Nicholas Reaction
- 根岸試薬(Cp2Zr) Negishi Reagent
- ポーソン・カーン反応 Pauson-Khand Reaction
関連書籍