概要
・オスミウム(VIII)、キラル三級アミン、クロラミン-T存在下にアルケンをキラルcis-アミノアルコールへと変換する方法。これは医薬品合成などにおける最重要キラルビルディングブロックの一つである。
・実験室レベルでは特に問題なく使用できる。一方で、オスミウムの毒性および高価さゆえ工業スケールでは用いられない。とはいえ、わずか一段階でこのような多官能基付与を行える手法は少ないため、将来的に問題点が解決されれば有用な変換法となりえる。
・エナンチオ選択性についてはSharplessADとほとんど同様に考えることができる。他方、アミン・アルコールの位置選択性は予測しがたい。
・一般に電子求引基・芳香環を持つオレフィンが良好な基質となる。
基本文献
- Li, G.; Chang, H.-T.; Sharpless, K. B. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1996, 35, 451. doi:10.1002/anie.199604511
- Reddy, K. L.; Sharpless, K. B. J. Am. Chem. Soc. 1998, 120, 1207. DOI: 10.1021/ja9728177
- Demko, Z. P.; Bartsh, M.; Sharpless, K. B. Org. Lett. 2000, 2, 2221. DOI: 10.1021/ol000098m
- Bodkin, J. A.; McLeod, M. D. JCS Perkin Trans. 1 2002, 2733. DOI: 10.1039/b111276g
- Nilov, D.; Reiser, O. Adv. Synth. Catal. 2002, 344, 1169. [abstract]
- Müniz, K. Chem. Soc. Rev. 2004, 33, 166. DOI: 10.1039/b307102m
反応機構
反応例
先述のように位置選択性の予測は難しいが、配位子によりある程度のコントロールは可能。
実験手順
スチレン類の不斉アミノヒドロキシル化[1]
実験のコツ・テクニック
参考文献
[1] Reddy, K. L.; Sharpless, K. B. J. Am. Chem. Soc. 1998, 120, 1207. DOI: 10.1021/ja9728177
関連反応
- 四酸化オスミウム Osmium Tetroxide (OsO4)
- シャープレス不斉ジヒドロキシル化 Sharpless Asyemmtric Dihydroxylation (SharplessAD)
- シャープレス・香月不斉エポキシ化反応 Sharpless-Katsuki Asymmetric Epoxidation (Sharpless AE)
関連書籍
外部リンク
- K. Barry Sharpless (Wikipedia)
- バリー・シャープレス (Wikipedia日本)
- Sharpless Oxyamination (Wikipedia)
- シャープレス酸化 (Wikipedia日本)
- K. Barry Sharpless Lab. (Scripps Reserch Institute)
- 2001年度ノーベル化学賞 (有機って面白いよね!)