カルボン酸誘導体→カルボン酸誘導体
概要
両鏡像体とも安価に入手可能なプソイドエフェドリンアミドをリチウムエノラートとした後、アルキルハライドと反応させて不斉アルキル化反応を行う手法。エフェドリン部は後に様々な官能基(ケトン、アルコール、アルデヒド、カルボン酸)へと変換可能。
カルボン酸誘導体のエノラートを不斉アルキル化できる信頼性の高い方法は限られており、本法の合成的価値は高い。
基本文献
- Myers, A. G.; Yang, B. H.; Chen, H.; Gleason, J. L. J. Am. Chem. Soc.1994, 116, 9361. DOI: 10.1021/ja00099a076
- Myers, A. G.; Yang, B. H.; Chen, H.; McKinstry, L.; Kopecky, D. J.; Gleason, J. L. J. Am. Chem. Soc.1997,119, 6496. DOI: 10.1021/ja970402f
反応機構
立体選択性発現の詳細は明らかとなっていないが、Liアルコキシド部位の集積化・溶媒和に由来するイ面遮蔽のため、エノラートア面から選択的にアルキル化が起こる、と考えられている。
反応例
Amphidinolide T1の合成[1]
アミノ基を保護することなくC-アルキル化が行え、光学活性アミノ酸誘導体が合成できる。[2]
Bafilomycin Aの合成[3]
実験手順
実験のコツ・テクニック
※ LiClは無水物を乾燥させたものを使う。
※ 日本ではエフェドリンの使用が制限されており、事実上使用不可能な方法。
参考文献
[1] Colby, E. A.; O’Brien, K. C.; Jamison, T. F. J. Am. Chem.Soc. 2004, 126, 998. DOI: 10.1021/ja039716v [2] Winkler, J. D.; Axten, J. M. J. Am. Chem. Soc. 1998, 120, 6425. DOI: 10.1021/ja981303k [3] Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 578 DOI: 10. 1002/anie. 200804645
関連反応
- トロスト不斉アリル位アルキル化反応 Trost Asymmetric Allylic Alkylation
- エノラートのα-アルキル化反応 α-Alkylation of Enolate
- ストーク エナミン Stork Enamine
- エヴァンスアルドール反応 Evans Aldol Reaction
関連書籍
[amazonjs asin=”0080966306″ locale=”JP” title=”Organic Syntheses Based on Name Reactions, Third Edition: a practical guide to 750 transformations”]