概要
アリルスルホキシドが熱的条件により転位を起こし、アリルスルフェナートとの平衡状態になる。本現象がMislowらによって発見された後、スルフェナートを捕捉するリン試薬などを添加することでアリルアルコールを合成できることがEvansらにより見出され、合成手法としての可能性が示された。
スルホキシドのα-プロトンは酸性度が高く、LDAなどの強塩基により脱プロトン化できる。アニオンを求電子剤と反応させてMislow-Evans転位を行うと置換アリルアルコールが合成できる。
基本文献
- Tang, R.; Mislow, K. J. Am. Chem. Soc. 1970, 92, 2100. DOI: 10.1021/ja00710a051
- Evans, D. A.; Andrews, G. C.; Sims, C. L. J. Am. Chem. Soc. 1971, 93, 4956. DOI: 10.1021/ja00748a075
- Evans, D. A., Andrews, G. C. Acc. Chem. Res. 1974, 7, 147. DOI: 10.1021/ar50077a004
反応機構
転位は[2,3]-sigmatropic機構で進行する。立体特異的に進行し、不斉点を持つスルホキシドの場合にはキラル転写が観測される。(参考:J.
Org. Chem. 1995,
60, 6682.)
反応例
平衡条件転位による立体異性化を、逆に上手く活用してやることが合成に用いる上でのポイントとなる。[1]
Asteltoxinの合成[2]
実験手順
実験のコツ・テクニック
参考文献
[1] Majetich, G. et al. J. Org. Chem. 1991, 56, 3973.DOI: 10.1021/jo00012a035 [2] Schreiber, S. L.; Hoveyda, A. H. J. Am. Chem. Soc. 1984, 106, 7200.DOI: 10.1021/ja00335a056
関連反応
- マイゼンハイマー転位 Meisenheimer Rearrangement
- ゾムレ・ハウザー転位 Sommelet-Hauser Rearrangement
- スティーヴンス転位 Stevens Rearrangement
- コープ転位 Cope Rearrangement
- 二酸化セレン Selenium Dioxide
- スルホキシド/セレノキシドのsyn-β脱離 Syn-β-elimination of Sulfoxide/Selenoxide
- ウィッティヒ転位 Wittig Rearrangement
- クライゼン転位 Claisen Rearrangement
関連書籍
外部リンク