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メーヤワイン・ポンドルフ・ヴァーレイ還元 Meerwein-Ponndorf-Verley (MPV) Reduction

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概要

Al(OiPr)3とイソプロパノール(IPA)を用いて、ケトンをアルコールに還元する方法。

可逆反応であり、IPAの代わりに過剰のアセトンを用いれば、アルコール部分が酸化されて、アルデヒドもしくはケトンが得られる(Oppenauer酸化)。このため熱力学的に優位な立体配置のアルコールが主に得られる。

還元剤は必ずしもIPAである必要はなく、シクロヘキサノールなどを用いることもできる。この場合には高温で反応を行える。ヒドリド還元などと比べて官能基選択性が高いことが特徴。

近年では、ランタノイドアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドを用いる変法、またルテニウム錯体(野依法)を使用した不斉還元の報告もある。

基本文献

  •  Meerwein, H.; Schmidt, R. Liebigs Ann. Chem. 1925444, 221. DOI: 10.1002/jlac.19254440112
  • Ponndorf, W. Angew. Chem. 1926, 39,: 138. doi:10.1002/ange.19260390504.
  • Verley, A. Bull. Soc. Chim. Fr. 1925, 37, 537.
  • Wilds, A. L. Org. React. 1944, 2,178.
  • Kellogg, R. M. Comprehensive Organic Synthesis 19918, 88.
  • de Graauw, C. F.; Peters, J. A.; van Bekkum, H.; Huskens, J. Synthesis 1994, 1007. DOI: 10.1055/s-1994-25625
  • Evans, D. A.; Nelson, S. G.; Gagne, M. R.; Muci, A. R. J. Am. Chem. Soc. 1993, 115, 9800. DOI: 10.1021/ja00074a057
  • Kumbhar, P. S. et al. Chem. Commun. 1998, 535. DOI: 10.1039/A708431E
  • Ooi, T. et al. J. Am. Chem. Soc. 1998,120, 10790.DOI: 10.1021/ja9821347
  • Nakano, Y. et al. Tetrahedron Lett. 200041, 1565.
  • Node, M. et al. J. Am. Chem. Soc. 2000,122, 1927. DOI: 10.1021/ja993546y

 

反応機構

全ての過程は平衡・可逆であり、還元体に平衡を傾けるには過剰量(通常溶媒量)のIPAを必要とする。β-水素を持つGrignard試薬が、立体的に混み合ったカルボニル化合物をヒドリド還元する反応も同様の機構で進むとされる。(Nature1949164, 789.
on-ol-04.gif

反応例

例[1] on-ol-3.gif
例[2] MPV_red_4.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Toyota, M.; Odashima, T.; Wada, T.; Ihara, M. J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 9036. DOI: 10.1021/ja0017413

[2] Evans, D. A.; Rieger, D. L.; Jones, T. K.; Kaldor, S. W. J. Org. Chem. 1990, 55, 6260. DOI: 10.1021/jo00313a011

 

関連反応

 

関連書籍

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