[スポンサーリンク]

M

活性二酸化マンガン Activated Manganese Dioxide (MnO2)

[スポンサーリンク]

概要

活性二酸化マンガンを用いる酸化。通常の脂肪族アルコールの酸化はきわめて遅く、アリルアルコールやベンジルアルコール、プロパルギルアルコールのみが選択的に酸化される。一級アルコールの酸化はアルデヒドで停止し、カルボン酸は生成しない。

極性溶媒では反応が遅く、ジクロロメタン溶媒で、なおかつ過剰量の試薬を用いるのが一般的である。

不均一系試薬なので後処理は濾過のみで良い。中性条件下で進行し副反応も少ないため、非常に簡便に行える。

基本文献

  • Fatiadi, A. J. Synthesis 1976, 65, 133.
  • 実験化学講座(第4版)、Vol21、pp 252.

反応機構

 

反応例

π結合性の強いシクロプロピルカルビノールも酸化を受ける。
ol-al-8.gif
MnO2_3.gif

実験手順

活性二酸化マンガンの調製法[1]

加熱した過マンガン酸カリウム(960g)水溶液(6000mL)を攪拌しながら、硫酸マンガン(II)4水和物(1110g)水溶液(1500mL)および水酸化ナトリウム水溶液(40%, 1170mL)を、同時に1時間かけて加える。二酸化マンガンが茶色い粉末として沈殿してくる。さらに1時間攪拌し、遠心分離して固体を集め、洗液が無色になるまで水洗いをする。固体をオーブン(100-120℃)で乾燥させ、粉末状に砕いて使用する(920g)。

実験のコツ・テクニック

  • 試薬のロット、販売会社によって活性にばらつきがあるので注意。和光純薬品が長らくよい選択だったが、販売停止となってしまった。2021年2月現在入手可能なものとしては、Merch社の製品が推奨される。
  • 活性度が異なる原因の一つにMnO2の脱水度があげられる。細かく砕いて高温(>200℃)に長時間加熱してやると、活性度が向上することが多い。

参考文献

  1. (a) Attenburrow, J. et al. J. Chem. Soc. 1952, 1094. (b) 実験化学講座(第4版)、Vol21、pp 252.

関連反応

関連書籍

[amazonjs asin=”3527323201″ locale=”JP” title=”Modern Oxidation Methods”][amazonjs asin=”0198556640″ locale=”JP” title=”Oxidation and Reduction in Organic Synthesis (Oxford Chemistry Primers, 6)”]

外部リンク

関連記事

  1. シャピロ反応 Shapiro Reaction
  2. プリリツェフ エポキシ化 Prilezhaev Epoxidat…
  3. シュミット転位 Schmidt Rearrangement
  4. バックワルド・ハートウィグ クロスカップリング Buchwald…
  5. ビシュラー・メーラウ インドール合成 Bischler-Mohl…
  6. サクセナ・エヴァンス還元 Saksena-Evans Reduc…
  7. アルコールのアルカンへの還元 Reduction from Al…
  8. 金属カルベノイドを用いるシクロプロパン化 Cyclopropan…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 触媒的C-H活性化反応 Catalytic C-H activation
  2. サリドマイド、がん治療薬に
  3. プロワイプ:実験室を安価できれいに!
  4. 化学Webギャラリー@Flickr 【Part2】
  5. 第72回―「タンパク質と融合させた高分子材料」Heather Maynard教授
  6. 不斉触媒研究論文引用回数、東大柴崎教授が世界1位
  7. サクセナ・エヴァンス還元 Saksena-Evans Reduction
  8. Organic Synthesis Workbook
  9. シグマ アルドリッチ構造式カタログの機能がアップグレードしたらしい
  10. 第50回Vシンポ「生物活性分子をデザインする潜在空間分子設計」を開催します!

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

そこのB2N3、不対電子いらない?

ヘテロ原子のみから成る環(完全ヘテロ原子環)のπ非局在型ラジカル種の合成が達成された。ジボラトリアゾ…

経済産業省ってどんなところ? ~製造産業局・素材産業課・革新素材室における研究開発専門職について~

我が国の化学産業を維持・発展させていくためには、様々なルール作りや投資配分を行政レベルから考え、実施…

第51回ケムステVシンポ「光化学最前線2025」を開催します!

こんにちは、Spectol21です! 年末ですが、来年2025年二発目のケムステVシンポ、その名…

ケムステV年末ライブ2024を開催します!

2024年も残り一週間を切りました! 年末といえば、そう、ケムステV年末ライブ2024!! …

世界初の金属反応剤の単離!高いE選択性を示すWeinrebアミド型Horner–Wadsworth–Emmons反応の開発

第636回のスポットライトリサーチは、東京理科大学 理学部第一部(椎名研究室)の村田貴嗣 助教と博士…

2024 CAS Future Leaders Program 参加者インタビュー ~世界中の同世代の化学者たちとかけがえのない繋がりを作りたいと思いませんか?~

CAS Future Leaders プログラムとは、アメリカ化学会 (the American C…

第50回Vシンポ「生物活性分子をデザインする潜在空間分子設計」を開催します!

第50回ケムステVシンポジウムの開催告知をさせて頂きます!2020年コロナウイルスパンデミッ…

有機合成化学協会誌2024年12月号:パラジウム-ヒドロキシ基含有ホスフィン触媒・元素多様化・縮環型天然物・求電子的シアノ化・オリゴペプチド合成

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年12月号がオンライン公開されています。…

「MI×データ科学」コース ~データ科学・AI・量子技術を利用した材料研究の新潮流~

 開講期間 2025年1月8日(水)、9日(木)、15日(水)、16日(木) 計4日間申込みはこ…

余裕でドラフトに収まるビュッヒ史上最小 ロータリーエバポレーターR-80シリーズ

高性能のロータリーエバポレーターで、効率良く研究を進めたい。けれど設置スペースに限りがあり購入を諦め…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP