カルボン酸誘導体→ケトン
概要
2分子のエステルを金属ナトリウム還元条件下、ホモ縮合させてα-ヒドロキシカルボニル化合物(アシロイン)を得る手法。
不安定なエンジオール中間体の分解や、塩基性条件下でのβ脱離などを避けるべく、TMSClを添加剤として加える改良法(Ruhlmann変法)が知られている。
通常はベンゼンやトルエンなどの非プロトン性溶媒が用いられる。プロトン性溶媒を用いるとBouveault-Blanc還元が進行しアルコールが得られる。
大員環(10員環以上)の分子内環化反応にも有用である。
基本文献
- Bouveault, L.; Loquin, R. Compt. Rend. 1905, 140, 1593.
- McElvain, S. M. Org. React.1948, 4, 256.
- Finley, K. T. Chem. Rev.1964, 64, 573. DOI: 10.1021/cr60231a004
- Ruhlmann K.Synthesis 1971, 236. DOI: 10.1055/s-1971-21707
- Bloomfield, M. M. et al. Org. React. 1976, 23, 259.
- Brettle, R. Comp. Org. Syn. 1991, 3, 613.
反応機構
反応例
TMSClを添加剤として用いる改良アシロイン縮合は、中員環化合物の合成に有効である。例えば以下の例[1]では、通常合成の難しい8~12員環化合物が比較的良好な収率で得られる。
コランニュレンの合成[1]
実験手順
[文献1]トリエステル (3.00 g, 0.0068 mol)のエーテル溶媒 (75 mL)を、窒素下–78ºC (Dry Ice-acetone)で無水液体アンモニア(180 mL)、エーテル(120 mL )、ナトリウム金属(0.75 g, 0.030 g-atom)に加える。5分後、メタノール(8 mL)の入ったエーテル溶液(10 mL)を加えると、青色の溶液から淡黄色に変化する。10分後、3gの塩化アンモニウムと水(100 mL)を加える (in Dry-Ice bath)。室温に戻し、1.25時間撹拌しアンモニアを揮発させる。水(100 mL)とエーテル(100 mL)を加え、有機層と水層を分離する。有機層を飽和NaHCO3と飽和NaClで洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥させる。得られた粗生成物をメタノールから再結晶させることで、生成物(1.21 g, 収率48%, 融点134-126ºC)を得る。
実験のコツ・テクニック
参考文献
[1] Lawton, R. G.; Barth. W. E.; J. Am. Chem. Soc. 1971, 93, 1730. DOI: 10.1021/ja00736a028
関連反応
- ブーボー・ブラン還元 Bouveault-Blanc Reduction
- ベンゾイン縮合反応 Benzoin Condensation
- ピナコールカップリング Pinacol Coupling
- マクマリーカップリング McMurry Coupling
関連書籍
外部リンク
- アシロイン縮合- Wikipedia
- アシロイン– Wikipedia
- アシロイン縮合触媒 (TCIメール)
- Acyloin Condensation – Wikipedia
- Acyloin Condensation (organic-chemistry.org)