概要
多段階合成において、アルコールは様々な試薬から保護しておく必要がある。アシル系保護基は一般に酸性条件・酸化条件に強い保護基として知られている。還元条件(DIBAL、LAH etc.)・塩基性条件(NaOH、K2CO3/MeOH etc.)などで脱保護される。
以下の3つが代表的。特にピバロイル基は立体的にすいているアルコールの選択的保護にも用いることができる。
アミンもアミドとして保護することが可能であるが、一般に脱保護条件(強酸or強塩基+加熱)が厳しい。トリフルオロアセチル基など外れやすいものを除けば、カルバメート系保護基に比べて、用いられる機会は少ない。
基質に複数のヒドロキシル基が存在するときは、アシル転移(acyl migration)が起こる可能があるため、注意が必要。
基本文献
反応機構
塩基としてはピリジン系のものを用いることが多い。系中で活性なアシルピリジニウム種が出るため効果的。
特に、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)を求核触媒として用いれば、(無水酢酸を用いる場合)反応はおよそ1万倍ほど加速される。このため低反応性アルコールでも効率的に保護できる(参照:Angew. Chem., Int. Ed. Engl. 1978,
17, 522.)。
反応例
実験手順
実験のコツ・テクニック
参考文献
関連反応
- 向山縮合試薬 Mukaiyama Condensation Reagent
- カルボン酸の保護 Protection of Carboxylic Acid
- 縮合剤 Condensation Reagent
- ショッテン・バウマン反応 Schotten-Baumann Reaction
- 1,2-/1,3-ジオールの保護 Protection of 1,2-/1,3-diol
- カルボニル基の保護 Protection of Carbonyl Group
- フィッシャー・スペイア エステル合成 Fischer-Speier Esterification
- アセタール系保護基 Acetal Protective Group
- スルホン系保護基 Sulfonyl Protective Group
- エーテル系保護基 Ether Protective Group
- カルバメート系保護基 Carbamate Protection
- p-メトキシベンジル保護基 p-Methoxybenzyl (PMB) Protective Group
- ベンジル保護基 Benzyl (Bn) Protective Group
- 光延反応 Mitsunobu Reaction
- シリル系保護基 Silyl Protective Group
関連書籍
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- 保護基(有機って面白いよね!!)
- 保護基(Wikipedia日本)
- ProtectingGroup(Wikipedia)
- ProtectingGroup
- Stability of Protecting Group: Hydroxyl (organic-chemistry.org)
- ProtectingGroup
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- ピバロイル基 (Wikipedia日本)
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