アルデヒド・ケトン、イソニトリル、カルボン酸、アミン → アミド
概要
アルデヒド・イソニトリル・カルボン酸・アミンを混ぜるだけで、生成物であるジペプチドが良好な収率で得られる四成分縮合反応(Four-component
Condensation)。非常に活性な反応で、室温下およそ数秒~数分のうちに終了することも多い。
極性溶媒が適しており、メタノールがもっとも良く用いられる。原料に比べて生成物が溶解しにくいため、生成系に優位な反応プロファイルを示すとともに、後処理をも容易とする。
ルイス酸を加えると反応は加速される。
化合物がペプチドそのものであり、反応自体きわめて高速なため、新規薬物探索に頻用される。 R1~R4を様々に変えるだけでライブラリーを構築することが出来る。
また、基質のバリエーションをいろいろと変えることでペプチドだけでなく、複素環合成などにも応用できる。詳しくは下記Reviewや参考書籍を参照されたい。
基本文献
- Ugi, I. Angew. Chem., Int. Ed. Engl. 1962,1, 8. doi:10.1002/anie.196200081
- Ugi, I.; Lohberge, S.; Karl, R. Comprehensive Organic Synthesis 1991, 2, 1083.
- Domling, A.; Ugi, I. Angew. Chem., Int. Ed. 2000, 39, 3168. [abstract]
- Ugi, I. Pure Appl. Chem. 2001, 73, 187. doi:10.1351/pac200173010187
- Zhu, J. Eur .J. Org. Chem. 2003, 1133. [abstract]
- Domling, A. Chem. Rev. 2006, 106, 17. DOI: 10.1021/cr0505728
- Marcaccini、S.; Torroba ,T. Nature Protocols 2007, 2, 632. doi:10.1038/nprot.2007.71
反応機構
イミンがプロトン化された活性イミニウム中間体にイソニトリルが求核付加し、ついでカルボキシレートアニオンが付加、アシル転位(Mumm転位)を経て生成物を与える。
水の添加により反応は加速される。(参考:J. Am. Chem. Soc.2004, 126, 444.)
反応例
いくつかの生理活性物質の合成に適用されている。高収束的合成を指向した多成分縮合反応は、次世代型有機合成において重要なポイントとなってくるであろう。
Ecteinascidin 743の合成[1]
Ugiライブラリーを用いるトロンビン阻害剤の探索[2]:遺伝的アルゴリズム(GA)を用いることで探索を高効率化している点が特徴。
実験手順
典型的なUgi反応の例[3]
実験のコツ・テクニック
参考文献
[1] Endo, A.; Yanagisawa, A.; Abe, M.; Tohma, S.; Kan, T.; Fukuyama, T. J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 6552. DOI: 10.1021/ja026216d [2] Weber, L. et al. Angew. Chem. Int. Ed. 1995, 34, 1739. doi:10.1002/anie.199517391 [3] Marcaccini、S.; Torroba ,T. Nature Protocols 2007, 2, 632. doi:10.1038/nprot.2007.71
関連反応
- TosMIC
- ビギネリ反応 Biginelli Reaction
- パッセリーニ反応 Passerini Reaction
- ペタシス反応 Petasis Reaction
- ボード ペプチド合成 Bode Peptide Synthesis
- ライセルト反応 Reissert Reaction
関連書籍
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関連リンク
- Multicomponent Reactions (organic-chemistry.org)
- Ugi reaction (organic-chemistry.org)
- ウギ反応(Wikipedia日本)
- Ugi reaction (Wikipedia)
- Ivar Karl Ugi (Wikipedia)
- イソニトリル(Wikipedia日本)
- TheBiginelli and Related (Passerini and Ugi) Reactions (PDF)
- 世界一の悪臭物質が大変身(日経サイエンス)