ケトン→アルコール
概要
NaBH4単体では通常1,4-還元が優先するが、CeCl3・7H2Oを共存させて反応を行うと、1,2-還元が優先してくる。様々な基質に対して適用可能であり、反応時間も3~5minと短い。手順も簡便。
DIBALも同様の目的で用いられるが、こちらは若干低温が必要。
基本文献
- Luche, J. L. J. Am. Chem. Soc. 1978, 100, 2226. DOI: 10.1021/ja00475a040
- Gemal, A. L.; Luche, J. L. J. Am. Chem. Soc. 1981, 103, 5454. DOI: 10.1021/ja00408a029
反応機構
CeCl3はルイス酸として働くとともに、ホウ素上の配位子交換を促進させ、よりハード性の高い還元種であるNaHn(OMe)4-nを生成させる働きをしているといわれている。
反応例
アルデヒドとケトンが共存する基質においては、Ce(III)の触媒作用によってアルデヒドがアセタール化(もしくはヘミアセタール化・gem-ジオール化)され、ヒドリド還元を受けない。このため、ケトンのみを選択的に還元することが出来る。
Batracotoxininの合成[1]
実験手順
実験のコツ・テクニック
参考文献
[1] Kurosu, M.; Marcin, L. R.; Grinsteiner, T. J.; Kishi, Y. J. Am. Chem. Soc. 1998, 120, 6627. doi: 10.1021/ja981258g
関連反応
- 水素化ジイソブチルアルミニウム Diisobutylaluminium hydride
- 水素化リチウムアルミニウム Lithium Alminum Hydride (LAH)
- ミッドランド還元 Midland Reduction
- ティシチェンコ反応 Tishchenko Reaction
- 野依不斉水素移動反応 Noyori Asymmetric Transfer Hydrogenation
- ストライカー試薬 Stryker’s Reagent
- メーヤワイン・ポンドルフ・ヴァーレイ還元 Meerwein-Ponndorf-Verley (MPV) Reduction
- カニッツァロ反応 Cannizzaro Reaction
- コーリー・バクシ・柴田還元 Corey-Bakshi-Shibata (CBS) Reduction
- ボーチ還元的アミノ化反応 Borch Reductive Amination
- 金属水素化物による還元 Reduction with Metal Hydride
関連書籍
関連リンク
- Luche Reduction
- Hydride (Wikipedia)
- Sodium Borohydride (Wikipedia)
- Cerium(III) Chloride (Wikipedia)
- Reducing Agents (organic-chemistry.org)
- Luche Reduction (organic-chemistry.org)
- HydrideReductions of Aldehydes and Ketones
- 還元 (Wikipedia日本)
- ヒドリド還元 (Wikipedia日本)
- 水素化ホウ素ナトリウム (Wikipedia日本)
- 有機って面白いよね!!「1,2-還元と1,4-還元」
- ルーシェ還元 – Wikipedia