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ジョーンズ酸化 Jones Oxidation

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概要

アルコールの酸化としては、もっとも基本的な反応である。オレフィンやアルキンとは反応せず、アルコールのみを酸化できる。試薬は硫酸水溶液なので、強酸性条件に耐えられない化合物には当然ながら適用不可。

残渣のクロム化合物は毒性が強いので、扱いや廃棄には十分注意する必要がある。

基本文献

  •  Bowden, K.; Heilbron, I. M.; Jones, E. R. H. J. Chem. Soc. 1946, 39.
  •  Heilbron, I. M.; Jones, E. R. H.; Sondheimer, F. J. Chem. Soc. 1949, 604.
  •  Ley, S. V.; Madin, A. Comprehensive Organic Synthesis 19917, 253.
  •  Luzzio, F. A. Org. React. 1998, 53, 1.

 

反応機構

水溶液中で行う反応である。一級アルコールが酸化されてできるアルデヒドは、系中で水和されてgem-ジオールとなる。これがさらに酸化を受け、生成物はカルボン酸となる。(つまり、アルデヒドで停止させるには、無水条件が必要不可欠)。
jones_oxi_2.gif

反応例

 

実験手順

Jones試薬の調製法

500mLビーカーで三酸化クロム(25g, 0.25 mol)を水(75mL)に溶解し、氷浴で冷やしながら濃硫酸(25mL)を注意深くかき混ぜながら加える。溶液の温度は0~5℃に保つ。調製された試薬は2.5Mである。

 

実験のコツ・テクニック

※反応の停止(クエンチ)はイソプロピルアルコールを加える方法が簡便である。

※クロム化合物、特に六価クロムは毒性が強いので、扱いや廃棄には十分注意する必要がある。

参考文献

 

関連反応

 

 

関連書籍

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外部リンク

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