概要
アルデヒドまたは飽和脂肪族ケトンを、アンモニア等価体・第一級アミン・第二級アミンとともにヒドリド還元剤の存在下反応させる。これにより還元的アミノ化が起こり、対応するアミンが得られる。
還元剤としてSodium cyanoborohydride (NaBH3CN)を用いる条件を特にBorch反応と呼び、一般性の高い方法としてアミン合成にしばしば用いられる。
NaBH3CNは弱酸性条件でも用いることができる弱還元剤である。pHをコントロールすることで還元的アミノ化を効率よく進行させることができる。ケトンやアルデヒドを還元するにはpH
3~4の条件が必要だが、イミニウムカチオンを還元するにはpH 6~7で良いため、NaBH3CNを用いることで副反応を最小限に抑えることが可能。
NaBH(OAc)3、2-ピコリンボランも同様の目的に用いることができる。前者は低毒性であり、後者は水中でも使えるという、より優れた方法となっている。
基本文献
- Borch, R. F.; Bernstein, M. D.; Durst, H. D. J. Am. Chem. Soc. 1971, 93, 2897. DOI: 10.1021/ja00741a013
- Borch, R. F.; Hassid, A. I. J. Org. Chem. 1972, 37, 1673. DOI: 10.1021/jo00975a049
- Emerson, W. S. Org. React. 1990, 14, 174.
- NaBH(OAc)3 conditions: Abdel-Magid, A. F.; Carson, K. G.; Harris, B. D.; Maryanoff, C. A.; Shah, E. D. J. Org. Chem. 1996, 61, 3849. doi: 10.1021/jo960057x
- 2-picoline-borane conditions: Sato, S. et al. Tetrahedron 2004, 60, 7899. doi:10.1016/j.tet.2004.06.045
開発の歴史
ギ酸を還元剤として用いる方法が古くから知られていた(Eschweiler-Clarke Reactionなど)が、1971年にアメリカの化学者BorchによってNaBH3CNを用いる条件が効果的であることが報告された。現在でも多用されている還元的アミノ化剤の1つである。
反応機構
カルボニル化合物およびアミンが反応して系中でイミニウムカチオン中間体が生成する。この化学種は求核攻撃に対して活性であり、ヒドリドと反応してアミンを与える。
反応例
例[1]
実験手順
実験のコツ・テクニック
参考文献
[1] Borch, R. F. et al. J. Org. Chem. 1972, 37, 1673. DOI: 10.1021/jo00975a049
関連反応
- ボラン錯体 Borane Complex (BH3・L)
- ハートウィグ ヒドロアミノ化反応 Hartwig Hydroamination
- デレピン アミン合成 Delepine Amine Synthesis
- ロイカート・ヴァラッハ反応 Leuckart-Wallach Reaction
- エシュバイラー・クラーク反応 Eschweiler-Clarke Reaction
- フォルスター・デッカー アミン合成 Forster-Decker Amine Synthesis
- ペタシス反応 Petasis Reaction
- ガブリエルアミン合成 Gabriel Amine Synthesis
- 福山アミン合成 Fukuyama Amine Synthesis
- 金属水素化物による還元 Reduction with Metal Hydride
- ルーシェ還元 Luche Reduction
関連書籍
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外部リンク
- ReductiveAmination via Imine
- ReductiveAmination (Wikipedia)
- AmineSynthesis by Redutive Amination (organic-chemistry.org)
- 還元的アミノ化- Wikipedia