カルボン酸誘導体 → アルデヒド
概要
カルボン酸から容易に誘導されるチオエステルを、アルコールを経ずにアルデヒドに還元できる。非常に穏和な条件で進行し、官能基選択性・基質一般性も高い。
カルボン酸の酸化段階からアルデヒドのそれへと、短工程で変換できる手法は現状でもそれほど多くなく、合成化学的に有用な手法の一つである。
基本文献
- Fukuyama, T. Lin, S.-C.; Li, L.J. Am. Chem. Soc. 1990, 112, 7050. DOI: 10.1021/ja00175a043
- Tokuyama, H.; Yokoshima, S.; Yamashita, T.; Lin, S.-C.; Li, L.; Fukuyama, T. Synthesis 2002, 1121. DOI: 10.1055/s-2002-31969
- 福山透, 有機合成化学協会誌 2003, 61, 620.
- Fukuyama, T.; Tokuyama, H. Aldrichimica Acta 2004, 37, 85. [PDF]
反応機構
反応例
アミド、エステル、ケトン、アセトナイド、シリル保護基、スルフィド、βラクタムなどは反応しない。オレフィンは還元されてしまうが、Lindlar触媒+過剰の末端アルケンを用いる改良法[1]を用いれば反応しない。
高い官能基選択性・条件の穏和さから天然物合成にしばしば用いられる。
altohyrtin C (spongistatin 2)の合成[2]:触媒的不斉向山アルドール反応と組み合わせることで、連続する不斉中心を高効率的に合成している。
実験手順
α-アミノ酸→α-アミノアルデヒドの2段階合成[3]
STEP 1
STEP 2
実験のコツ・テクニック
参考文献
[1] Evans, D. A. et al. Angew. Chem., Int. Ed. Engl. 1997, 36, 2741. doi:10.1002/anie.199727411 [2] Evans, D. A. et al. Tetrahedron 1999, 55, 8671. doi:10.1016/S0040-4020(99)00438-X [3] Tokuyama, H.; Yokoshima, S.; Yamashita, T.; Lin, S.-C.; Li, L.; Fukuyama, T. Synthesis 2002, 1121. DOI: 10.1055/s-2002-31969
関連反応
- 還元的脱硫反応 Reductive Desulfurization
- リーベスカインド・スローグル クロスカップリング Liebeskind-Srogl Cross Coupling
- ローゼンムント還元 Rosenmund Reduction
- 福山クロスカップリング Fukuyama Cross Coupling
関連書籍
外部リンク
- 天然物合成化学教室(福山透研究室)
- 福山還元 (Wikipedia日本)
- 福山透 (Wikipedia日本)
- Fukuyama Reduction (organic-chemistry.org)