概要
アルコールをアルカンへと直接還元することは一般に困難である。
ハロゲン化物、スルホン酸エステルなどの脱離基に変換した後、金属ヒドリド源(LiAlH4、LiHBEt3、Bu3SnH+ラジカル開始剤など)で還元する迂回的方法がとられる。ハロゲンを還元的除去する他の古典的条件としては接触水素化やBirch還元などが知られている。
ハロゲン化にはPX3、PX5、SOCl2、(COCl)2などを用いる方法が簡便である。中性条件で行いたい場合にはAppel反応が多用される。スルホン酸エステル化はMsCl-Et3N、TsCl-Py(-DMAP)系が一般的である。
脂肪族第一級アルコール以外のアルコールはLiAlH4-AlCl3(1:3)の条件により還元が可能であるが、カルボカチオン中間体が生成するため、転位や異性化を併発する場合がある。
一級アルコールはNaBH3CN-(PhO)3P-CH3I条件を用いて、系中で生成するヨウ化アルキルを還元する方法もとられる。
ラジカル条件で除去したい場合にはBarton-McCombie脱酸素化が良く用いられる。近年では1電子還元条件(Marko-Lam脱酸素化)や、光レドックス触媒条件で除去可能な方法も報告されつつある。
基本文献
反応機構
ヒドリドによる求核置換反応と考えて良い。
反応例
実験手順
実験のコツ・テクニック
参考文献
関連反応
- 還元的脱硫反応 Reductive Desulfurization
- マルコ・ラム脱酸素化 Marko-Lam Deoxygenation
- 水素化リチウムアルミニウム Lithium Alminum Hydride (LAH)
- モヴァッサージ脱酸素化 Movassaghi Deoxigenation
- バートン・マクコンビー脱酸素化 Barton-McCombie Deoxygenation
- クレメンゼン還元 Clemmensen Reduction
- ウォルフ・キシュナー還元 Wolff-Kishner Reduction
- 金属水素化物による還元 Reduction with Metal Hydride
関連書籍
関連リンク
- A Lithium Alminium Hydride Reduction
- Hydride (Wikipedia)
- Lithium Alminium Hydride (Wikipedia)
- Reducing Agents (organic-chemistry.org)
- 還元 (Wikipedia日本)
- ヒドリド還元 (Wikipedia日本)