概要
Hg(OAc)2のオレフィンへの位置選択的trans-付加反応(オキシ水銀化)、続くNaBH4による還元的脱水銀化により、Markovnikov付加したアルコールを合成する反応。強酸性条件を必要とせず、温和な条件下で進行する。
anti-Markovnikovアルコール合成に用いられる、Brownヒドロホウ素化反応とは対照的である。
基本文献
- Larock, R. C.; Leony, W. W. Comprehensive Organic Synthesis 1991, 4, 300.
反応機構
カチオン安定化能の高い置換基に水が付加する点は、SN1置換反応と同様といえる(Markovnikov則)。この反応はanti付加で、立体特異的に進行する。カルボカチオン中間体を生成しないので、転位などの副反応が抑制できる。
水素化ホウ素ナトリウムによる還元は、水銀ヒドリド生成後、ラジカル機構で進行すると考えられている。この段階は立体特異的ではない。(参考: J. Am. Chem. Soc. 1966, 88, 993.)
反応例
Gelsemineの合成[1]: NaCl水溶液でOTfをアニオン交換してやることで精製を容易にしている。
実験手順
実験のコツ・テクニック
参考文献
[1] Yokoshima, S.; Tokuyama, H.; Fukuyama, T.Angew. Chem. Int. Ed. 2000, 39, 4073. [abstract]
関連反応
- アルキンの水和反応 Hydration of Alkyne
- 向山水和反応 Mukaiyama Hydration
- ヒドロシリル化反応 Hydrosilylation
- ケネディ酸化的環化反応 Kennedy Oxydative Cyclization
- 玉尾・フレミング酸化 Tamao-Fleming Oxidation
- ブラウンヒドロホウ素化反応 Brown Hydroboration
関連書籍
外部リンク
- Oxymercuration Reaction (Wikipedia)