ルテインはカロテノイドの一つで、身近なところではマリーゴールドやモロヘイヤ、小松菜などに多く含まれている。400〜500 nmの青色光を吸収するため肉眼では黄〜橙色に見える。ルテインに限らずカロテノイドに属する分子は、長いポリエン鎖を持ち一重項酸素の消去活性を示すため、抗酸化作用のある天然色素として知られている。人間の体内においてルテインは目の水晶体や黄斑部分をはじめとした様々な部位に存在しているが、ヒトはルテインを体内で合成することができないため、食品として摂取する必要がある。
ルテインの構造
構造や機能がルテインに類似したカロテノイドにゼアキサンチンがある。ゼアキサンチンのほうが共役系がやや広く、赤みがかって見える。ルテインとゼアキサンチンは分離が面倒であり、分離せずにまとめて扱うケースもよく見られる。
ゼアキサンチンの構造
詳細
ルテインの分子量は568.8714、分子式はC40H56O2である。脂溶性分子であり水には不溶である。植物中では脂肪酸とエステル結合したエステル体として存在する。人体内では酵素によって加水分解され、遊離ルテインとして存在する。
カロテノイドは大きくカロテンとキサントフィルの2つに分類される。ルテインはキサントフィルに属する。
ルテインを含むカロテノイド類は、一重項酸素の励起エネルギーを受け取り、さらに熱としてそのエネルギーを放出することで、一重項酸素を繰り返し消去する性質がある。
用途
加齢性黄斑変性などの眼疾患の予防効果が近年注目されており、眼の機能を改善する目的のサプリメントや機能性表示食品としてルテインを含有する多くの商品が販売されている。
参考文献
ファルマシア Vol. 52, No. 6, 534-538 (2016)
Vitamins, Vol. 90, No. 11, 525-536 (2016)
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