正式名称 : 2,5-di-(N-(–)-prolyl)-para-benzoquinone
シソ科の植物 Leucosceptrum canum の花の蜜 (nectar) から単離された化合物。ダーク・ブラウン色をしており、鳥が好んで舐めに来ることから“鳥のコカ・コーラ”とも呼ばれている。
通常、花の蜜は無色のものが多い。しかし、少なくとも 68 の分類群、20 の属、15 の科で有色の蜂蜜が単離されている。L. canum は、鳥に非常に好まれている植物であり、約 40 種の鳥がその蜜を吸いにくることが知られている。L. canum の蜜の色は、紫色のAnthocyanin 類縁体によるものである。
生合成
Proline と Quinone が縮合して生合成されると考えられている。
DPBQ の構造決定に際し、結晶化が試みられたがうまくいかなかった。そのため、実際にこの化合物を合成し、CD スペクトルを比較することにより絶対立体化学が決定された。
DPBQ は、アミノ酸である Proline と Quinone が縮合して生合成されると考えられているが、Quinone とアミノ酸が縮合して生成する天然物は、海綿などからは報告されているが、花の蜜に含まれる色素成分としては、新規な構造である。
DPBQ は、有機溶媒中では不安定であるが、塩基性条件下 (pH8.4)、水溶液中では比較的安定である。L. canum の花の蜜のpH は7.93 から8.53 程度であるため、 DPBQ は安定に存在できると考えられている。
関連リンク
参考文献
- Luo, S.-H.; Liu, Y.; Hua, J.; Niu, X.-M.; Jing, S.-X.; Zhao, X.; Schneider, B.; Gershenzon, J.; Li, S.-H. Org. Lett. 2012, 14, 4146. DOI: 10.1021/ol3017879