アスタキサンチンは、節足動物に含まれる色素分子。エビやカニなどの甲殻類を茹でると赤くなる現象は、この色素のため。サケやフラミンゴの色は、餌として摂取した甲殻類のアスタキサンチンに由来します。
詳細
節足動物のアスタキサンチンは、通常、クラスタシアニンと呼ばれるタンパク質に結合しており、この状態では暗い青色をしています。この現象は精製したタンパク質でも確かめられており、赤色から青色に変わるためには、タンパク質中の水分子の介在が必要です[1]。節足動物のアスタキサンチンは、茹でることでクラスタシアニンから脱離します。赤への変色は、甲殻類はもちろん、多くの昆虫類でも観察されます。甲殻類を食べて育ったサケは、クラスタシアニンがないため、生の切り身でも赤色です。
アスタキサンチンの分子モデル
参考論文
[1] “The molecular basis of the coloration mechanism in lobster shell: Beta-Crustacyanin at 3.2-A resolution.”?Ciaanci M et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2002?DOI: 10.1073/pnas.152088999