トマトやニンジン、柿、スイカ、果てはパパイヤまで、さまざまな植物に含まれる赤い色素、それがリコペンです。
このリコペンは、構造を見てもわかるとおり、脂溶性のカロテノイドです。そのため、トマトやニンジン、ケチャップなどを油とともに用いると、リコペンが油によく溶けるため、油の色が赤~橙に変化します。
リコペンなどのカロテノイドは、高等な植物においてはイソペンテニル二リン酸から合成されるが、動物は合成できないため、植物から摂取する必要があります。
また、リコペンの色は、共役系の発色団によるものです。これは、カロテンなどにも共通します。この共役系がラジカル種に対して高い反応性を示すことが、強い抗酸化作用を持つことの理由です。そのため、トマトの色がついてしまった服の色を落としたいときには、日光にあてておくと良いと言われます。紫外線によって生じる微量のラジカル種によって共役系が失われていくためです。さらに、共役系が完全に失われれば色は消失しますが、付加反応が中途の段階で止まった場合には、黄色や緑など、さまざまな色を示します。そのため、リコペンやβ-カロテンを含む物質に臭素などを少しずつ加えていくと、黄色や緑などの鮮やかな色を作り出すことができます。
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参考資料