[スポンサーリンク]

日用品

ポリアクリル酸ナトリウム Sodium polyacrylate

[スポンサーリンク]

 

ポリアクリル酸ナトリウム(Sodium polyacrylate)は、カルボキシル基を有するポリマーで、高吸水性高分子(Superabsorbent polymer)の一種である。

基本性質

ポリアクリル酸ナトリウムは、カルボキシル基を有するため親水性が高い材料である。高吸水性高分子としてポリアクリル酸ナトリウムを合成する際には、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸、架橋性モノマーから作られ、これらの重合によって3次元網目構造を有する構造体が形成される。

ナトリウムカチオンがポリマー内に存在するため、浸透圧の差によってたくさんの水を吸収することができる。そのため、おむつや生理用品などに、水を吸収する材料として使われている。

ポリアクリル酸ナトリウムの重合方法(引用:化学ミュージアム)

このポリアクリル酸ナトリウムを多く生産しているのは日本触媒であり、プロピレンを触媒で酸化する製法で原料のアクリル酸を安価に大量生産できる技術を持ち、独自の工業生産プロセスや表面架橋技術の開発に成功している。しかしながら、2012年にはアクリル酸製造施設爆発・火災事故を起こしおむつがスーパーからなくなるとの懸念が出た。

 

応用例~ローション~

上記の通り、おむつや生理用品にポリアクリル酸ナトリウムが使われていることは非常に有名である。

ニッチな応用例としては、マッサージ用?のローションが挙げられる。ローションは、以前は海藻が主成分だったが、防腐剤成分や品質劣化の懸念があった。また、オイル系のローションはゴム臭がひどかった。そこで開発されたのがポリアクリル酸ナトリウムを使ったローションであり、無味無臭、水に溶け、水との混合で好みの濃度に変えられるという利点を持っている。最も有名なローションの一つであるペペローションもこのポリアクリル酸ナトリウムが使われている。筆者(男)は彼女なしの独身なので、おむつや生理用品、ローションに縁はないが、いつかはこの身の回りの分子にお世話になりたいものである。

 

関連書籍

[amazonjs asin=”B00BTJ8OAY” locale=”JP” title=”化学経済増刊 2013年版世界化学工業白書 2013年 03月号 雑誌”]

 

関連動画

 

関連リンク

Avatar photo

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. アルファリポ酸 /α-lipoic acid
  2. ペリプラノン
  3. カンファー(camphor)
  4. セレノネイン selenoneine
  5. ムスカリン muscarine
  6. コランニュレン corannulene
  7. キニーネ きにーね quinine
  8. クルクミン /curcumin

注目情報

ピックアップ記事

  1. 三枝・伊藤酸化 Saegusa-Ito Oxidation
  2. イオン液体のリチウムイオン電池向け電解液・ ゲル電解質への応用【終了】
  3. 伊藤嘉彦京都大名誉教授死去
  4. 第69回「見えないものを見えるようにする」野々山貴行准教授
  5. ケムステ記事ランキングまとめ
  6. 光延反応 Mitsunobu Reaction
  7. 一家に1枚周期表を 理科離れ防止狙い文科省
  8. メカニカルスターラー
  9. ヴィクター・スニーカス Victor A. Snieckus
  10. 光薬理学 Photopharmacology

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2016年6月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

注目情報

最新記事

MEDCHEM NEWS 34-1 号「創薬を支える計測・検出技術の最前線」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

医薬品設計における三次元性指標(Fsp³)の再評価

近年、医薬品開発において候補分子の三次元構造が注目されてきました。特に、2009年に発表された論文「…

AI分子生成の導入と基本手法の紹介

本記事では、AIや情報技術を用いた分子生成技術の有機分子設計における有用性や代表的手法について解説し…

第53回ケムステVシンポ「化学×イノベーション -女性研究者が拓く未来-」を開催します!

第53回ケムステVシンポの会告です!今回のVシンポは、若手女性研究者のコミュニティと起業支援…

Nature誌が発表!!2025年注目の7つの技術!!

こんにちは,熊葛です.毎年この時期にはNature誌で,その年注目の7つの技術について取り上げられま…

塩野義製薬:COVID-19治療薬”Ensitrelvir”の超特急製造開発秘話

新型コロナウイルス感染症は2023年5月に5類移行となり、昨年はこれまでの生活が…

コバルト触媒による多様な低分子骨格の構築を実現 –医薬品合成などへの応用に期待–

第 642回のスポットライトリサーチは、武蔵野大学薬学部薬化学研究室・講師の 重…

ヘム鉄を配位するシステイン残基を持たないシトクロムP450!?中には21番目のアミノ酸として知られるセレノシステインへと変異されているP450も発見!

こんにちは,熊葛です.今回は,一般的なP450で保存されているヘム鉄を配位するシステイン残基に,異な…

有機化学とタンパク質工学の知恵を駆使して、カリウムイオンが細胞内で赤く煌めくようにする

第 641 回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院理学系研究科化学専攻 生…

CO2 の排出はどのように削減できるか?【その1: CO2 の排出源について】

大気中の二酸化炭素を減らす取り組みとして、二酸化炭素回収·貯留 (CCS; Carbon dioxi…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー