毒
ボツリヌストキシン (botulinum toxin)
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ボツリヌストキシンは、小胞による細胞内物質輸送を妨げる強力な毒素。細菌ボツリヌス菌経口投与で体重1キログラム当たり1マイクログラムに満たないほど致死量が少量であり、ボツリヌストキシンは自然界に存在する物質のうち最強の毒のひとつとして知られます。[3でできているため変性しやすく、加熱などの操作で失活します。、(SNARE protein)を認識4して取りつき、これを[1する性質があります小胞による細胞内物質輸送では、小胞にあるスネアタンパク質と、細胞膜などの標的膜にあるスネアタンパク質が組となってからみあい、膜融合を制御しています[5],[6]。2013年ノーベル生理学医学賞を受けた、小胞細胞内物質輸送ボツリヌストキシンが作用する明らかにされました。その際、ボツリヌストキシンは、一部で細胞生物学の実験試薬としても使われました。
灰色がスネアタンパク質・青色がボツリヌストキシンの部分構造 [4]
ボツリヌストキシン(botulinum toxin, botox)は、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum, Bacillus botulinus )から見つかった毒素。ボツリヌス菌によるソーセージの食中毒は、亜硝酸ナトリウムの添加によって克服されました。発色の目的も含め、亜硝酸ナトリウムは現在も食品添加物として、ソーセージに使われています。
蜂蜜は1歳未満の乳児に与えてはいけません。乳児では腸内細菌が未発達であるため、ボツリヌス菌が殺菌されません。したがって、このボツリヌス菌で中毒を起こします。
ボツリヌストキシンの神経細胞への作用は、医薬品としても使われています。国内では、保険対象外であるものの、筋弛緩作用を応用して、眉間のしわ取りを目的[2]にしても、効果のほどが期待されています。
[1] “Tetanus and botulinum-B neurotoxins block neurotransmitter release by proteolytic cleavage of synaptobrevin.” Nature DOI: 10.1038/359832a0
[2] “Treatment of Glabellar Frown Lines with C. Botulinum-A Exotoxin.” DOI: 10.1111/j.1524-4725.1992.tb03295.x
[3] “Crystal structure of botulinum neurotoxin type A and implications for toxicity.” Lacy DB et al. Nature Struct. Biol. 1998 DOI: 10.1038/2338
[4] “Substrate recognition strategy for botulinum neurotoxin serotype A.” Breidenbach MA et al. Nature 2004 DOI: 10.1038/nature03123
[5] “A fusion protein required for vesicle-mediated transport in both mammalian cells and yeast.” Rothman JE et al. Nature 1989 DOI: 10.1038/339355a0
[6] “Nature 1993 DOI: 10.1038/362318a0