[スポンサーリンク]

日用品

酢酸ビニル (vinyl acetate)

[スポンサーリンク]

GREEN2013acv01.png

酢酸ビニル(vinyl acetate)は、ポリビニルアルコールなど合成高分子材料の原料となる分子。パラジウム触媒を用いてエチレン酢酸酸素分子を反応させる方法が、一般的な工業製法とされます。この他に、アセチレン酢酸を反応させる方法でも得られます。酢酸ビニルの取り扱いにあたっては、重合しやすく、市販の試薬は重合防止剤が添加されている。

 

  • 酢酸ビニルの用途

酢酸ビニルが付加重合するとポリビニル酢酸になります。これを水酸化ナトリウムで処理し、酢酸エステルを切断してアセチル基を外すとポリビニルアルコールになります[1]。ポリビニルアルコールは温水に可溶であり、洗濯のりに使われます。また、ホウ砂と混ぜ合わせると、子ども用理科実験でおなじみのスライムになります[2]。また、ポリビニルアルコールは粘性を高めることでシャボン玉を割りにくくするためシャボン玉液にも加えられます。

ポリビニルアルコールを紡糸し、これをホルムアルデヒドで処理し、アセタール化することで、水に溶けなくした材料を、ビニロンと呼びます。ビニロンには適度な吸湿性を持ち、綿に似た感触があり、強度が高く、一方でごわごわして、染色しにくい性質があります。ビニロンは、漁網や作業着などに使われます。このビニロンは、戦前の日本で発明され、戦後になって工業生産が始まった素材です[1]。

GREEN2013acv03.png

重合させてからアセチル基を外す点がポイント

 

  • 参考文献

[1] 数研出版・高等学校教科書・化学・306 (http://www.chart.co.jp/goods/kyokasho/26kyokasho/rika/kagaku/)

[2] "The gelation of polyvinyl alcohol with borax." Casassa EZ et al. J. Chem. Edu. 1986 DOI: 10.1021/ed063p57

Avatar photo

Green

投稿者の記事一覧

静岡で化学を教えています。よろしくお願いします。

関連記事

  1. フェノールフタレイン ふぇのーるふたれいん phenolphth…
  2. アスタキサンチン (astaxanthin)
  3. 塩化ラジウム223
  4. オリンピセン (olympicene)
  5. テトロドトキシン Tetrodotoxin
  6. ヒストリオニコトキシン histrionicotoxin
  7. 常圧核還元(水添)触媒 Rh-Pt/(DMPSi-Al2O3)
  8. アピオース apiose

注目情報

ピックアップ記事

  1. マクミラン触媒 MacMillan’s Catalyst
  2. 徹底比較 トラックボールVSトラックパッド
  3. パーコウ反応 Perkow Reaction
  4. Q&A型ウェビナー カーボンニュートラル実現のためのマイクロ波プロセス 〜ケミカルリサイクル・乾燥・濃縮・焼成・剥離〜
  5. 【PR】 Chem-Stationで記事を書いてみませんか?【スタッフ募集】
  6. 単一分子を検出可能な5色の高光度化学発光タンパク質の開発
  7. ブラッテラキノン /blattellaquinone
  8. 経営統合のJXTGホールディングスが始動
  9. 【第二回】シード/リード化合物の合成
  10. 工程フローからみた「どんな会社が?」~OLED関連

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2013年9月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

注目情報

最新記事

第57回有機金属若手の会 夏の学校

案内:今年度も、有機金属若手の会夏の学校を2泊3日の合宿形式で開催します。有機金…

高用量ビタミンB12がALSに治療効果を発揮する。しかし流通問題も。

2024年11月20日、エーザイ株式会社は、筋萎縮性側索硬化症用剤「ロゼバラミン…

第23回次世代を担う有機化学シンポジウム

「若手研究者が口頭発表する機会や自由闊達にディスカッションする場を増やし、若手の研究活動をエンカレッ…

ペロブスカイト太陽電池開発におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用

持続可能な社会の実現に向けて、太陽電池は太陽光発電における中心的な要素として注目…

有機合成化学協会誌2025年3月号:チェーンウォーキング・カルコゲン結合・有機電解反応・ロタキサン・配位重合

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年3月号がオンラインで公開されています!…

CIPイノベーション共創プログラム「未来の医療を支えるバイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第105春季年会(2025)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「未来の医療…

OIST Science Challenge 2025 に参加しました

2025年3月15日から22日にかけて沖縄科学技術大学院大学 (OIST) にて開催された Scie…

ペーパークラフトで MOFをつくる

第650回のスポットライトリサーチには、化学コミュニケーション賞2024を受賞された、岡山理科大学 …

月岡温泉で硫黄泉の pH の影響について考えてみた 【化学者が行く温泉巡りの旅】

臭い温泉に入りたい! というわけで、硫黄系温泉を巡る旅の後編です。前回の記事では群馬県草津温泉をご紹…

二酸化マンガンの極小ナノサイズ化で次世代電池や触媒の性能を底上げ!

第649回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院環境科学研究科(本間研究室)博士課程後期2年の飯…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー