[スポンサーリンク]

身のまわりの分子

プロパンチアールオキシド (propanethial S-oxide)

[スポンサーリンク]

プロパンチアールオキシドは、タマネギなどネギ属植物を切り刻むと生じる催涙成分。タマネギの食用部を包丁で切ると目がしみる原因はこの物質のためです。

 

  • 詳細

プロパンチアールオキシド1-プロパンチアールS-オキシド)はタマネギを切ると発生する成分。どのような過程で発生するのか、反応経路の全体像が明かされたのは2002年のこと。酵素がすみやかに作用すると催涙成分であるプロパンチオールオキシドができ、そのまま時間が経つと自発的に他の風味成分ができます[1]。このプロパンチオールSオキシド生合成酵素の設計図を記した遺伝子の発現をRNA干渉で抑え込むと、包丁でざくざく切っても涙がでないタマネギを作り出すことができます[2]。今井真介氏らが行ったこれらの研究は2013年にイグノーベル化学賞を受けることになりました。

 

  • 参考文献

[1] “An onion enzyme that makes the eyes water.” Shinsuke Imai et al. Nature 2002 DOI: 10.1038/419685a

[2] “Silencing Onion Lachrymatory Factor Synthase Causes a Signi?cant Change in the Sulfur Secondary Metabolite Pro?le.” Eady CC et al. Plant Physiol. 2008 DOI: 10.1104/pp.108.123273

[3] ハウス食品「タマネギ研究でのイグノーベル賞受賞」(http://housefoods.jp/company/news/dbpdf/58234824e464b7.pdf)

Avatar photo

Green

投稿者の記事一覧

静岡で化学を教えています。よろしくお願いします。

関連記事

  1. シラン Silane
  2. グルコース (glucose)
  3. テトラメチルアンモニウム (tetramethylammoniu…
  4. 二酸化炭素 (carbon dioxide)
  5. ヘリウム (helium; He)
  6. キセノン (xenon; Xe)
  7. アブシジン酸(abscisic acid; ABA)
  8. サリチル酸 (salicylic acid)

注目情報

ピックアップ記事

  1. 秋田の女子高生が「ヒル避け」特許を取得
  2. “秒”で分析 をあたりまえに―利便性が高まるSFC
  3. ネオジム磁石の調達、製造技術とビジネス戦略【終了】
  4. コープ転位 Cope Rearrangement
  5. オルガテクノ大賞2005受賞者決定!
  6. 科学部をもっと増やそうよ
  7. アサートン・トッド反応 Atherton-Todd Reaction
  8. トロスト酸化 Trost Oxidation
  9. 機械学習用のデータがない?計算機上で集めませんか。データ駆動型インシリコ不斉触媒設計で有機合成DX
  10. 荷電処理が一切不要な振動発電素子を創る~有機EL材料の新しい展開~

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2013年9月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

注目情報

最新記事

先端の質量分析:GC-MSおよびLC-MSデータ処理における機械学習の応用

キャラクタライゼーションの機械学習応用は、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)およびラボオートメ…

原子半径・電気陰性度・中間体の安定性に起因する課題を打破〜担持Niナノ粒子触媒の協奏的触媒作用〜

第648回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院工学系研究科(山口研究室)博士課程後期2年の松山…

リビングラジカル重合ガイドブック -材料設計のための反応制御-

概要高機能高分子材料の合成法として必須となったリビングラジカル重合を、ラジカル重合の基礎から、各…

高硬度なのに高速に生分解する超分子バイオプラスチックのはなし

Tshozoです。これまでプラスチックの選別の話やマイクロプラスチックの話、およびナノプラスチッ…

新発想の分子モーター ―分子機械の新たなパラダイム―

第646回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機反応論研究室 助教の …

大人気の超純水製造装置を組み立ててみた

化学・生物系の研究室に欠かせない超純水装置。その中でも最も知名度が高いのは、やはりメルクの Mill…

Carl Boschの人生 その11

Tshozoです。間が空きましたが前回の続きです。時系列が前後しますが窒素固定の開発を始めたころ、B…

PythonとChatGPTを活用するスペクトル解析実践ガイド

概要ケモメトリクスと機械学習によるスペクトル解析を、Pythonの使い方と数学の基礎から実践…

一塩基違いの DNA の迅速な単離: 対照実験がどのように Nature への出版につながったか

第645回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院工学系研究科相田研究室の龚浩 (Gong Hao…

アキラル色素分子にキラル光学特性を付与するミセルを開発

第644回のスポットライトリサーチは、東京科学大学 総合研究院 応用化学系 化学生命科学研究所 吉沢…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー