ヘリウムは単原子分子として存在する常温気体。沸点は4ケルビン。この数値はすべての気体で最も低いものです。標準圧力下では絶対零度に冷やしても、量子力学上の性質により液体のままであり、固体にするためには圧力をかける必要があります。
ヘリウムの発見
ヘリウムは皆既日食の光を分析する中で発見されました。そのためギリシャ語で太陽を意味する「ヘリオス」に命名が由来しています。実際は見当はずれでしたが、金属だと予想されたため、「-ium」の語尾になっています。のちに、岩石の中からも見出されました。
ヘリウムの産出
ヘリウム含有ガス田は多くがアメリカ合衆国にあり、20世紀の長い間にわたり90パーセント以上を依存していました。最近では、ロシアやアルジェリアでも生産が始まっています。しかし、2012年には世界的なヘリウム供給不足が生じ、価格が逼迫しました。
液体ヘリウムの性質
液体のヘリウムは、医療用の核磁気共鳴画像装置や、化学分析用の核磁気共鳴装置など、超伝導電磁石の冷却に使われます。液体のヘリウムでは、超流動現象を観察することができます。
気体ヘリウムの性質
気体のヘリウムは、水素分子に次いで、2番目に軽く、飛行船に浮力を与えることができます。1937年に起きたヒンデンブルク号の事故以来、飛行船に水素ガスはめったに使われなくなり、代わりにヘリウムガスが使われています。ヘリウム風船としてもなじみです。また、ヘリウムと酸素の混合ガスは、声を甲高くするパーティーグッズとして知られ、この現象はドナルドダック効果とも呼ばれます。
- 参考文献