[スポンサーリンク]

身のまわりの分子

トロンボキサンA2 /Thromboxane A2

[スポンサーリンク]

thromboxaneA2.gif?

トロンボキサンA2?(thromboxane A2; TXA2) は血小板凝集作用、血管平滑筋収縮作用、気道平滑筋収縮作用を持つ生体内物質である。

?

 

  • 用途・歴史

 生体内ではプロスタグランジンH2(PGH2)から合成される。

トロンボキサンA2は生理条件下にてアセタール部位が加水分解を受け、半減期32秒にて不活性なトロンボキサンB2に変化してしまう超不安定物質である。

  • 合成法
thromboxaneA2_2.gif 

W.C.Stillらは、アセタール隣接位に臭素原子を導入してオキソニウムカチオン体の安定性を減じた合成中間体を設計した。この臭素原子をポリマー担持型スズヒドリドによって除去したのち、トロンボキサンA2のアルカリ金属塩を合成する事に成功し、当時推定でしかなかったトロンボキサンA2の構造を強く支持する結果を得た。これは不安定化学種の機器分析による同定が困難であった際、有機合成がその力量を発揮した好例と言える。 

  • 関連文献

 

  • 関連リンク

トロンボキサン – Wikipedia

Thromboxane A2  – Wikipedia

アラキドン酸カスケード

抗血小板剤 – Wikipedia

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. ゲラニオール
  2. ペンタレネン Pentalenene
  3. バトラコトキシン (batrachotoxin)
  4. シラン Silane
  5. アザジラクチン あざじらくちん azadirachtin
  6. 化学者のためのエレクトロニクス講座~無電解卑金属めっきの各論編~…
  7. ディスコデルモライド /Discodermolide
  8. ヘリウム (helium; He)

注目情報

ピックアップ記事

  1. ノーベル賞・田中さん愛大で講義
  2. IKCOC-15 ー今年の秋は京都で国際会議に参加しよう
  3. フロー法で医薬品を精密合成
  4. 光速の文献管理ソフト「Paperpile」
  5. ナノ粒子の機能と応用 ?コロイダルシリカを中心に?【終了】
  6. 【速報】2017年ノーベル化学賞は「クライオ電子顕微鏡の開発」に!
  7. 旭化成の今期、営業利益15%増の1250億円に
  8. 天然有機化合物の全合成:独創的なものづくりの反応と戦略
  9. 世界初!うつ病が客観的に診断可能に!?
  10. ジブロモイソシアヌル酸:Dibromoisocyanuric Acid

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年2月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
232425262728  

注目情報

最新記事

MEDCHEM NEWS 34-1 号「創薬を支える計測・検出技術の最前線」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

医薬品設計における三次元性指標(Fsp³)の再評価

近年、医薬品開発において候補分子の三次元構造が注目されてきました。特に、2009年に発表された論文「…

AI分子生成の導入と基本手法の紹介

本記事では、AIや情報技術を用いた分子生成技術の有機分子設計における有用性や代表的手法について解説し…

第53回ケムステVシンポ「化学×イノベーション -女性研究者が拓く未来-」を開催します!

第53回ケムステVシンポの会告です!今回のVシンポは、若手女性研究者のコミュニティと起業支援…

Nature誌が発表!!2025年注目の7つの技術!!

こんにちは,熊葛です.毎年この時期にはNature誌で,その年注目の7つの技術について取り上げられま…

塩野義製薬:COVID-19治療薬”Ensitrelvir”の超特急製造開発秘話

新型コロナウイルス感染症は2023年5月に5類移行となり、昨年はこれまでの生活が…

コバルト触媒による多様な低分子骨格の構築を実現 –医薬品合成などへの応用に期待–

第 642回のスポットライトリサーチは、武蔵野大学薬学部薬化学研究室・講師の 重…

ヘム鉄を配位するシステイン残基を持たないシトクロムP450!?中には21番目のアミノ酸として知られるセレノシステインへと変異されているP450も発見!

こんにちは,熊葛です.今回は,一般的なP450で保存されているヘム鉄を配位するシステイン残基に,異な…

有機化学とタンパク質工学の知恵を駆使して、カリウムイオンが細胞内で赤く煌めくようにする

第 641 回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院理学系研究科化学専攻 生…

CO2 の排出はどのように削減できるか?【その1: CO2 の排出源について】

大気中の二酸化炭素を減らす取り組みとして、二酸化炭素回収·貯留 (CCS; Carbon dioxi…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー