[スポンサーリンク]

身のまわりの分子

アクリルアミド /acrylamide

[スポンサーリンク]

acrylamide.jpg
 

アクリルアミド(acrylamide)は合成樹脂や接着剤、土壌改良剤、塗料などに多く使用されている有機小分子です。

 アクリルアミドは疑発ガン性の化学物質です。アクリルアミドに高頻度で曝露される作業者が粘膜系に刺激を覚えたり、中枢神経系に障害を示す症例が報告されています。少なくとも、あまり体には良いものではなさそうです。

 近年、アクリルアミドがポテトチップス・フライドポテト・コーヒーなどの加工食品に多く含まれることが報告されました。焼いたり揚げたりなどが含有の起源になっていることはどうやら疑いなさそうです。

 アクリルアミド生成過程には、いくつかの仮説が考えられています。そのうちの一つを以下紹介します。砂糖であるグルコースと食物に含まれる必須アミノ酸であるアスパラギンが加熱等によって縮合します。さらに脱炭酸することによって得られたグルコース誘導体からアクリルアミドが得られるという仮説です(メイラード反応)。

acrylamide2.jpg

 少量では全く問題がなくとも、大量に摂取すると問題になる化合物というのはアクリルアミドに限らず多くあります。くれぐれもお気をつけください。

※アクリルアミド分析法(水中)

acrylamide3.gif

 試料溶液中のアクリルアミドを酸性条件下で、臭化カリウムと臭素酸カリウム溶液を用いて臭素化し、ジブロモ誘導体とします。過剰の臭素をチオ硫酸ナトリウムで還元して消失させた後、ジブロモ誘導体を酢酸エチルで抽出します。これにトリエチルアミンを加えて脱臭化水素して得られたモノブロモ誘導体をガスクロマトグラフィー(GC)により分析します。(ref. アクリルアミドの分析法)

  • 関連文献

 

  • 関連書籍
法研
西野 輔翼(著)
発売日:2003-01
発送時期:通常3~5週間以内に発送
ランキング:119772
おすすめ度:5.0
おすすめ度5 食べて元気になりたい人は必読
  • 関連リンク

食品中のアクリルアミドについて

食品中のアクリルアミド問題についてのお知らせ

アクリルアミド – Wikipedia

Acrylamide – Wikipedia

Acrylamide Infonet

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. カンファー(camphor)
  2. カルボプラチン /carboplatin
  3. ギ酸 (formic acid)
  4. ムスカリン muscarine
  5. ボルテゾミブ (bortezomib)
  6. ペニシリン ぺにしりん penicillin
  7. 重医薬品(重水素化医薬品、heavy drug)
  8. A-ファクター A-factor

注目情報

ピックアップ記事

  1. 振動円二色性スペクトル Vibrational Circular Dichroism (VCD) Spectrum
  2. 2024年度 第24回グリーン・サステイナブル ケミストリー賞 候補業績 募集のご案内
  3. 外部の分析機器を活用する方法
  4. Evonikとはどんな会社?
  5. 高選択的な不斉触媒系を機械学習で予測する
  6. アステラス病態代謝研究会 2019年度助成募集
  7. ライアン・シェンビ Ryan A. Shenvi
  8. ジンチョウゲ科アオガンピ属植物からの抗HIV活性ジテルペノイドの発見
  9. 北川 進 Susumu Kitagawa
  10. 技あり!マイルドにエーテルを切ってホウ素で結ぶ

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2007年10月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

注目情報

最新記事

第23回次世代を担う有機化学シンポジウム

「若手研究者が口頭発表する機会や自由闊達にディスカッションする場を増やし、若手の研究活動をエンカレッ…

ペロブスカイト太陽電池開発におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用

持続可能な社会の実現に向けて、太陽電池は太陽光発電における中心的な要素として注目…

有機合成化学協会誌2025年3月号:チェーンウォーキング・カルコゲン結合・有機電解反応・ロタキサン・配位重合

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年3月号がオンラインで公開されています!…

CIPイノベーション共創プログラム「未来の医療を支えるバイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第105春季年会(2025)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「未来の医療…

OIST Science Challenge 2025 に参加しました

2025年3月15日から22日にかけて沖縄科学技術大学院大学 (OIST) にて開催された Scie…

ペーパークラフトで MOFをつくる

第650回のスポットライトリサーチには、化学コミュニケーション賞2024を受賞された、岡山理科大学 …

月岡温泉で硫黄泉の pH の影響について考えてみた 【化学者が行く温泉巡りの旅】

臭い温泉に入りたい! というわけで、硫黄系温泉を巡る旅の後編です。前回の記事では群馬県草津温泉をご紹…

二酸化マンガンの極小ナノサイズ化で次世代電池や触媒の性能を底上げ!

第649回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院環境科学研究科(本間研究室)博士課程後期2年の飯…

日本薬学会第145年会 に参加しよう!

3月27日~29日、福岡国際会議場にて 「日本薬学会第145年会」 が開催されま…

TLC分析がもっと楽に、正確に! ~TLC分析がアナログからデジタルに

薄層クロマトグラフィーは分離手法の一つとして、お金をかけず、安価な方法として現在…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー