[スポンサーリンク]

身のまわりの分子

アザジラクチン あざじらくちん azadirachtin

[スポンサーリンク]

azadirachtin.gif

アザジラクチン(azadirachtin)は、インドセンダン(ニーム、Azadirachta india)の種子に存在する二次代謝産物です。

  • 歴史・用途

数多くの害虫に対して摂食阻害効果を示し、昆虫の成長を抑制します。アザジラクチンはミミズや肉食性益虫、哺乳動物に対してはほとんど毒性を示さずに、草食性害虫に選択的に効果を及ぼします。非常に優れた農薬[1]の一つです。

その構造的複雑さゆえ、数多くの合成化学者の興味を引いてきました。ごく最近、英ケンブリッジ大学のSteven.V.Leyらが22年の年月をかけて、化学合成を達成[2]しました。2007年に合成完了が報告された化合物の中では、疑いの余地なく最難関化合物であり、有機合成の極限領域に挑んだ研究といえるでしょう。

  • 参考文献
[1] Green Chemistry 2005, 7, 431.

[2] Veitch, G. E.; Beckmann, E.; Burke, B. J.; Boyer, A.; Maslen, S. L.; Ley, S. V. Angew. Chem. Int. Ed. 2007, Early View.  DOI: 10.1002/anie.200703027  

  • 関連リンク

殺虫剤 (Wikipedia日本)

農薬 (Wikipedia日本)

ピレスロイド (Wikipedia日本)

Insecticide (Wikipedia)

Pesticide (Wikipedia)

Azadirachtin (Wikipedia)

ニーム(インドセンダン)

アザジラクチン・22年目の陥落 (有機化学美術館・分館)

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. ペニシリン ぺにしりん penicillin
  2. パクリタキセル(タキソール) paclitaxel(TAXOL)…
  3. カスガマイシン (kasugamycin)
  4. ノビリシチンA Nobilisitine A
  5. アピオース apiose
  6. タミフル(オセルタミビル) tamiflu (oseltamiv…
  7. シラン Silane
  8. モルヒネ morphine

注目情報

ピックアップ記事

  1. 製薬系企業研究者との懇談会
  2. 科学とは「世界中で共有できるワクワクの源」! 2018年度ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞
  3. メラノーマ治療薬のリード化合物を発見
  4. フローマイクロリアクターを活用した多置換アルケンの効率的な合成
  5. 筑波山
  6. カチオン中間体の反応に新展開をもたらす新規フロー反応装置の開発
  7. ハリー・グレイ Harry B. Gray
  8. 芳香族カルボン酸をHAT触媒に応用する
  9. 抗体結合ペプチドを用いる非共有結合的抗体-薬物複合体の創製
  10. 【PR】 Chem-Stationで記事を書いてみませんか?【スタッフ募集】

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2007年9月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

注目情報

最新記事

植物由来アルカロイドライブラリーから新たな不斉有機触媒の発見

第632回のスポットライトリサーチは、千葉大学大学院医学薬学府(中分子化学研究室)博士課程後期3年の…

MEDCHEM NEWS 33-4 号「創薬人育成事業の活動報告」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

第49回ケムステVシンポ「触媒との掛け算で拡張・多様化する化学」を開催します!

第49回ケムステVシンポの会告を致します。2年前(32回)・昨年(41回)に引き続き、今年も…

【日産化学】新卒採用情報(2026卒)

―研究で未来を創る。こんな世界にしたいと理想の姿を描き、実現のために必要なものをうみだす。…

硫黄と別れてもリンカーが束縛する!曲がったπ共役分子の構築

紫外光による脱硫反応を利用することで、本来は平面であるはずのペリレンビスイミド骨格を歪ませることに成…

有機合成化学協会誌2024年11月号:英文特集号

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年11月号がオンライン公開されています。…

小型でも妥協なし!幅広い化合物をサチレーションフリーのELSDで検出

UV吸収のない化合物を精製する際、一定量でフラクションをすべて収集し、TLCで呈色試…

第48回ケムステVシンポ「ペプチド創薬のフロントランナーズ」を開催します!

いよいよ本年もあと僅かとなって参りましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。冬…

3つのラジカルを自由自在!アルケンのアリール–アルキル化反応

アルケンの位置選択的なアリール–アルキル化反応が報告された。ラジカルソーティングを用いた三種類のラジ…

【日産化学 26卒/Zoomウェビナー配信!】START your ChemiSTORY あなたの化学をさがす 研究職限定 キャリアマッチングLIVE

3日間で10領域の研究職社員がプレゼンテーション!日産化学の全研究領域を公開する、研…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP