みなさんこんにちは。年末も近づいてきて、忙しくなってきた頃でしょうか。
chem-stationは化学の情報でいっぱいですが、たまにはちょっと違う世界をのぞいてみませんか?
そこで今回ご紹介するのは、森博嗣氏の著作である「喜嶋先生の静かな世界」。
学問・研究の世界に浸る主人公を、眺めてみませんか。
- 研究室に在籍中の学生の皆さんにおすすめ!
きっと皆さんも、研究の世界に没頭する毎日ではないでしょうか。
ご自身と近い境遇の主人公を眺めて、自分の毎日を振り返ってみませんか。
- 研究室配属前の学生さんにもおすすめ!
「研究室ってどんなところだろう?」期待と不安でいっぱいですよね。私もそうでした!
娯楽としても楽しめますし、この小説を読みながら将来を想像できるかも。
- もう学生じゃあなくなってしまった皆さんにもおすすめ!
学生の頃の気持ちを思い出せるかも・・・?
森博嗣氏ワールドをご存じない皆さんも、ここから入ってみてはいかがでしょうか。今まで二十数年生きてきて、これほどものを考えたことはなかった。受験勉強でも、まったくなかった。・・・(中略)・・・研究を初めて僕が出会った思考というのは、・・・まったく異質だ。光り輝くゴールなんてもちろんない。周囲はどの方向も真っ暗闇で、自分が辿ってきた道以外になにも見えない。たとえ飛躍的に進むことができて、なにかの手応えを感じても、そこには「これが正しい」という証明書は用意されていない。それが正しいことは、自分で確かめ、自分に対して説得する以外にないのだ。(p.163より)
研究者が若いうちに業績を挙げる理由は、ここにある。年齢が増すほど,解けない例を知ってしまうから、もしかして、これは無理なのではないか、と疑い深くなり、それに比例して、少しずつ研究の最前線から退くことになる。これは、自身がないという状態とはまったく違う。研究は、気合いや自信で進められるものではないからだ。(p.217より)
帰宅する途中、坂道を上りながら、僕は夜空を見上げるようになった。街の明かりがぼんやりと周辺を霞ませていて、星はか弱く高いところにしか見えない。
ずっと、空なんか見なかった。(p.373より)
ひょっとすると・・・喜嶋先生のような先生は、もう大学にはいないのかもしれないけれど。化学を専攻する私たちが、自分と少し違う境遇の工学技術系の学生を眺めて、一息ついてみませんか。
くたくただったのに一晩でこの本を読んでしまったferroceneでした。
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