[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第149回―「ガスの貯蔵・分離・触媒変換に役立つ金属-有機構造体の開発」Banglin Chen教授

[スポンサーリンク]

第149回の海外化学者インタビューは、バングリン・チェン教授です。テキサス大学サンアントニオ校化学科に所属し、ガスの貯蔵、分離、感知、不均一な触媒作用のための多孔質金属-有機構造体材料の研究を行っています。

Q. あなたが化学者になった理由は?

高校時代の化学教師であるYang Zhicai氏の熱意と深い化学的理解に、多大な影響を受けました。単純な原料から新しい化学物質を無限に作り出すことができる化学の不思議な力に魅せられ、いつか有用な化学物質・材料を開発できないかと考えるようになりました。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

大学時代は、貧しい人たちを助けられる政治家になりたいと思っていました。もし化学者でなかったら、きっとキリスト教の伝道師になっていたでしょう。

Q. 現在取り組んでいることは何ですか?そしてそれをどう展開させたいですか?

現在は、ガス(H2、CH4、CO2、C2H2、C2H4など)の貯蔵・分離や、不均一系触媒のための新材料を探索しています。単に科学を発展させるだけでなく、実用的に役立つ材料を一つでも二つでも発見できることを願っています。

Q.あなたがもし 歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

アルフレート・ヴェルナーです。彼がどれだけ想像力に富んでいたかを知りたいです。現代化学に錯体化学がこれほど大きな影響を与えることを、彼は予見していたのでしょうか。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

約3年前です。美しいキラルな混合型金属-有機構造体を合成しました。とはいえほぼ毎日、ポスドクや学生と結晶をチェックして楽しんでいます。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

聖書と『Hymns of Life』を持っていきます。クリスチャンであることは、人生において最も重要かつ意味のあることです。

[amazonjs asin=”B08YDHC69V” locale=”JP” title=”Hymns for Life”]

Q.「Reactions」でインタビューしてほしい化学者と、その理由を教えてください。

マイケル・オキーフィです。私が知っている限り、科学に専念している数少ない科学者の一人です。

 

原文:Reactions – Banglin Chen

※このインタビューは2011年4月1日に公開されました。

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第14回「らせん」分子の建築家ー八島栄次教授
  2. 第29回「安全・簡便・短工程を実現する」眞鍋敬教授
  3. 第43回―「均質ナノ粒子の合成と生命医学・触媒への応用」Taeg…
  4. 第105回―「低配位有機金属錯体を用いる触媒化学」Andrew …
  5. 第125回―「非線形光伝播の基礎特性と応用」Kalai Sara…
  6. 第19回 有機エレクトロニクスを指向した合成 – G…
  7. 第16回 結晶から結晶への化学変換 – Miguel…
  8. 第55回「タンパク質を有機化学で操る」中村 浩之 教授

注目情報

ピックアップ記事

  1. 【Q&Aシリーズ❸ 技術者・事業担当者向け】 マイクロ波プロセスのスケールアップについて
  2. 生物発光のスイッチ制御でイメージング
  3. 光触媒の力で多置換トリフルオロメチルアルケンを合成
  4. スイスに留学するならこの奨学金 -Swiss Government Excellence Scholarshipsー
  5. フラーレンの中には核反応を早くする不思議空間がある
  6. 「あの人は仕事ができる」と評判の人がしている3つのこと
  7. 機械学習用のデータがない?計算機上で集めませんか。データ駆動型インシリコ不斉触媒設計で有機合成DX
  8. 高分子鎖デザインがもたらすポリマーサイエンスの再創造|オンライン・対面併設|進化する高分子材料 表面・界面制御 Advanced コース
  9. アカデミックから民間企業への転職について考えてみる
  10. 夏の必需品ー虫除けスプレーあれこれ

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2021年5月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

四置換アルケンのエナンチオ選択的ヒドロホウ素化反応

四置換アルケンの位置選択的かつ立体選択的な触媒的ヒドロホウ素化が報告された。電子豊富なロジウム錯体と…

【12月開催】 【第二期 マツモトファインケミカル技術セミナー開催】 題目:有機金属化合物 オルガチックスのエステル化、エステル交換触媒としての利用

■セミナー概要当社ではチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素等の有機金属化合物を“オルガチッ…

河村奈緒子 Naoko Komura

河村 奈緒子(こうむら なおこ, 19xx年xx月xx日-)は、日本の有機化学者である。専門は糖鎖合…

分極したBe–Be結合で広がるベリリウムの化学

Be–Be結合をもつ安定な錯体であるジベリロセンの配位子交換により、分極したBe–Be結合形成を初め…

小松 徹 Tohru Komatsu

小松 徹(こまつ とおる、19xx年xx月xx日-)は、日本の化学者である。東京大学大学院薬学系研究…

化学CMアップデート

いろいろ忙しくてケムステからほぼ一年離れておりましたが、少しだけ復活しました。その復活第一弾は化学企…

固有のキラリティーを生むカリックス[4]アレーン合成法の開発

不斉有機触媒を利用した分子間反応により、カリックスアレーンを構築することが可能である。固有キラリ…

服部 倫弘 Tomohiro Hattori

服部 倫弘 (Tomohiro Hattori) は、日本の有機化学者。中部大学…

ぱたぱた組み替わるブルバレン誘導体を高度に置換する

容易に合成可能なビシクロノナン骨格を利用した、簡潔でエナンチオ選択的に多様な官能基をもつバルバラロン…

今年は Carl Bosch 生誕 150周年です

Tshozoです。タイトルの件、本国で特に大きなイベントはないようなのですが、筆者が書かずに誰が…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP