第139回の海外化学者インタビューはグレッグ・ショールズ教授です。トロント大学化学科(訳注:現在はプリンストン大学化学科)に在籍し、ナノスケールシステムにおける光誘起プロセスの理解に取り組んでいます。それではインタビューをどうぞ。
Q. あなたが化学者になった理由は?
小学2年生のときに父がクラスに来て、硫酸銅の結晶育成法を実演した時のことを覚えています。クラスは畏敬の雰囲気に包まれました・・・科学どうこうというわけではなく、ドアに入るために頭をかがめなければならなかったほど、父の背が高かったからです。私自身のキャリア見通しは、科学者にはじまり、コンピュータプログラマー、合成化学者、そして最終的には物理化学者と、さまざまな分野で揺らいでいました。
Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?
実現性を考えなくてはならないとなれば、NBAスターは選べませんね。そうなると、海洋生物学者とグラフィックデザイナーのどちらかを選ぶでしょう。
Q. 現在取り組んでいることは何ですか?そしてそれをどう展開させたいですか?
最近の研究で、藻類の光合成タンパク質中に驚くべき量子現象を発見しました。これをさらに解明することに加えて、これらの藻類やその近縁種の光合成光捕集タンパク質の進化と多様化がどんな要因によって決定されているのかにも興味を持っています。
Q.あなたがもし 歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?
オーストラリアのクリケット界で最も偉大な選手であるドナルド・ブラッドマン卿と食事をしたいと思います。
Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?
研究室で行った最後の実験は、約7年前、当時のポスドクだったペギー・ハインズの指導下に、CdSeナノ結晶を合成しZnSシェルを付けたことです。サンプルはペギーが日常的に作っていたものとかけ離れたものでしたが、自分自身にかなり満足しています。
Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。
プラダのシェードをつけて島でのんびりしながら、これからニッコロ・アンマーニティの『The Crossroads』を読み始める姿が想像できます。しかし、ヘルマン・ワイルの『古典的群論:その不変量と表現』を持っていかねばならないでしょうね。というのも、現在の読破ペースで読み終えるには、無人島に数年滞在する必要があるからです!無人島はいいチャンスですね。
[amazonjs asin=”B07GH87ZF6″ locale=”JP” title=”The Crossroads”][amazonjs asin=”B088CSH2WP” locale=”JP” title=”The Classical Groups: Their Invariants and Representations (PMS-1) (Princeton Landmarks in Mathematics and Physics) (English Edition)”]無人島に行けば、家では禁止されているディープ・パープルのアルバムを演奏する良い機会になるでしょうが、ハービー・ハンコックの名盤『ヘッド・ハンターズ』を持っていくかもしれませんね。
[amazonjs asin=”B000ULV3E6″ locale=”JP” title=”ヘッド・ハンターズ”]Q.「Reactions」でインタビューしてほしい化学者と、その理由を教えてください。
素晴らしい選択肢がたくさんあります。テキサス大学オースティン校のポール・バーバラ氏なら、興味深い回答をしてくれるでしょう。偉大な科学者として私が尊敬している人です。
関連動画
※このインタビューは2009年12月11日に公開されました。