[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第133回―「遺伝暗号リプログラミングと翻訳後修飾の研究」Jason Chin教授

[スポンサーリンク]

第133回の海外化学者インタビューはジェイソン・チン教授です。ケンブリッジMRC分子生物学研究所のタンパク質・核酸化学部門に所属し、生命化学と生物工学に取り組んでいます。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

目に見える世界の変化をコントロールする、目に見えないルールの仕組みに興味を持ったので、科学者になりたいと思いました。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

作家です。継続的に読書をしていて、一度に何冊も読むことが多いです。最近は『Olive Kitteridge』、『A Fraction of the Whole』、『Sea of Poppies』、『Netherland』を読みました。文章を書くことは、ただただ多様な営みです。

[amazonjs asin=”4151200703″ locale=”JP” title=”オリーヴ・キタリッジの生活 (ハヤカワepi文庫)”][amazonjs asin=”B0013A1JAQ” locale=”JP” title=”A Fraction of the Whole: A Novel (English Edition)”][amazonjs asin=”0312428596″ locale=”JP” title=”Sea of Poppies (Ibis Trilogy)”]

Q. 現在取り組んでいることは何ですか?そしてそれをどう展開させたいですか?

遺伝暗号のリプログラミングです。 私たちは、翻訳後修飾を遺伝子的にコード化し、その効果を調べることで、翻訳後修飾のメカニズム的理解を加速したいと考えています。また、細胞を一般的な高分子合成装置にしたいとも思っています。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

T・E・ロレンスです。彼なら面白い話をしてくれるだろうと想像しています。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

一年ほど前です。学生が進化させたリボソームの信頼度測定の手伝いをしました。 システインコドンのない遺伝子に対する、35Sのシステインの誤取込を見ていました。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

『The New Yorker』の定期購読が必要ですね。総じて美しく書かれていて、興味深い記事やフィクションがたくさん載っています。ケンブリッジで『The New Yorker』を読んでいたので、情報源から遠く離れた場所で読むと、どのように感じられるか知っています。

Q.「Reactions」でインタビューしてほしい化学者と、その理由を教えてください。

英国マンチェスター大学のジョン・サザランドです。彼は化学を使用して生物学の起源について正統な質問をし、エレガントかつ重要なプレバイオティクス合成を提供しています。これは間違いなく、最も重要な合成法です。

 

原文:Reactions – Jason Chin

※このインタビューは2009年10月2日に公開されました。

 

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第63回―「生物のコミュニケーションを司る天然物化学」矢島 新 …
  2. 第127回―「生物学的に取扱困難な金属イオンを研究する」Ann …
  3. 第176回―「物質表面における有機金属化学」Christophe…
  4. 第14回「らせん」分子の建築家ー八島栄次教授
  5. 第84回―「トップ化学ジャーナルの編集者として」Anne Pic…
  6. 第22回 化学の複雑な世界の源を求めてーLee Cronin教授…
  7. 第130回―「無機薄膜成長法を指向した有機金属化学」Lisa M…
  8. 第35回 生物への応用を志向した新しいナノマテリアル合成― Ma…

注目情報

ピックアップ記事

  1. Amazonを上手く使って書籍代を節約する方法
  2. メタロペプチド触媒を用いるFc領域選択的な抗体修飾法
  3. 渡邉 峻一郎 Shun Watanabe
  4. 酵素触媒反応の生成速度を考えるー阻害剤入りー
  5. NMRの基礎知識【測定・解析編】
  6. (–)-Batrachotoxinin Aの短工程全合成
  7. SNS予想で盛り上がれ!2021年ノーベル化学賞は誰の手に?
  8. 【マイクロ波化学(株) 石油化学/プラスチック業界向けウェビナー】 マイクロ波による新事業 石油化学・プラスチック業界のための脱炭素・電化ソリューション
  9. 全フッ素置換シクロプロピル化試薬の開発
  10. 三菱化学:子会社と持ち株会社設立 敵対的買収を防ぐ狙い

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年11月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2025年3月号:チェーンウォーキング・カルコゲン結合・有機電解反応・ロタキサン・配位重合

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年3月号がオンラインで公開されています!…

CIPイノベーション共創プログラム「未来の医療を支えるバイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第105春季年会(2025)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「未来の医療…

OIST Science Challenge 2025 に参加しました

2025年3月15日から22日にかけて沖縄科学技術大学院大学 (OIST) にて開催された Scie…

ペーパークラフトで MOFをつくる

第650回のスポットライトリサーチには、化学コミュニケーション賞2024を受賞された、岡山理科大学 …

月岡温泉で硫黄泉の pH の影響について考えてみた 【化学者が行く温泉巡りの旅】

臭い温泉に入りたい! というわけで、硫黄系温泉を巡る旅の後編です。前回の記事では群馬県草津温泉をご紹…

二酸化マンガンの極小ナノサイズ化で次世代電池や触媒の性能を底上げ!

第649回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院環境科学研究科(本間研究室)博士課程後期2年の飯…

日本薬学会第145年会 に参加しよう!

3月27日~29日、福岡国際会議場にて 「日本薬学会第145年会」 が開催されま…

TLC分析がもっと楽に、正確に! ~TLC分析がアナログからデジタルに

薄層クロマトグラフィーは分離手法の一つとして、お金をかけず、安価な方法として現在…

先端の質量分析:GC-MSおよびLC-MSデータ処理における機械学習の応用

キャラクタライゼーションの機械学習応用は、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)およびラボオートメ…

原子半径・電気陰性度・中間体の安定性に起因する課題を打破〜担持Niナノ粒子触媒の協奏的触媒作用〜

第648回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院工学系研究科(山口研究室)博士課程後期2年の松山…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー