第107回の海外化学者インタビューは、ヤコブ・クライン教授です。ワイツマン研究所の材料・界面学科に所属し、オックスフォード大学の客員研究員を務めています。特に近年はソフトマターの特性を研究しており、そのなかでも高度凝縮状態にある複雑な流体挙動や生物学的潤滑剤の分子基盤を研究しています。それではインタビューをどうぞ。
Q. あなたが化学者になった理由は?
最初の学位取得のために読書をし、後に教授陣を務めたケンブリッジ大学物理学科のあるキャベンディッシュで博士号を取ったので、私は本当の意味での化学者ではありません。物理学者になろうと思ったのは、感動的な高校の先生がいたからです。物理学のバックグラウンドにもかかわらず、自分はワイツマン研究所 化学科の材料研究部門で働き、オックスフォード大学のリー博士のところで化学教授を長年務め、さらにはオックスフォード大学の物理化学科長も務めています。
Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?
若い人たちに説明したり、物理的な世界に気づかせたりするのはとても楽しいです。 子供たちの通う学校で、子供たちを通じてその機会を得ました。教師になりたいと思っています。
Q. 概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?
クリーンエネルギーの不足、地球温暖化(もちろんそれに関連するものも)、人々の延命と健康状態の改善など、世界の真に大きな問題の多くは、広い意味では化学者によってすでに対処されています。
Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?
もしも制限が無いのであれば、ナザレのイエスがいいです。 彼の見方がどのようなものであったのか、後の解釈に照らしつつ、彼と直接議論してみたいと思います…。
Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?
1990 年代半ばに正教授に昇進して、比較的大きな研究グループを率いてから何年も経ちましたが、そのときはまだ学生やポスドクと一緒に徹夜で(表面力の)実験をしていました(周囲の振動が最小限に抑えられているので、夜が実験には最も良い時間帯です)。最近では、頻繁に研究室に入って実験を見たり、ツマミをいじったり(必須!)、接眼レンズを通して動いている光学フリンジを見たりしています。
Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。
本はトールキンの『指輪物語』です。子供たちが小さい頃、一人一人順番にページごとに読み聞かせ、自分でも何度か読みましたが、その世界観は今なお生き生きとしています。
[amazonjs asin=”4566023826″ locale=”JP” title=”文庫 新版 指輪物語 全10巻セット (評論社文庫)”]音楽はヴィヴァルディの『四季』にします。特に無人島では重宝するでしょう。
[amazonjs asin=”B001S5L10O” locale=”JP” title=”ヴィヴァルディ:四季”]※このインタビューは2009年3月13日に公開されました。